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「鬼怒川ってセックスしつこそうだよな」
古城がむせた。
俺は、懇切丁寧に説明してやるか、適当に返すか、悩んだ。
悩んで、その話にのることにした。
「一度火が点いたらな」
残念ながら、一度火が点いたらしつこいのは古城の方だ。
「……古城、あんなこといってるがどうなんだ?」
古城はひとしきり笑ったあと、まだ真面目な顔をしているトノに言い切った。
「俺がいやだと言っても、イイというまではなさねぇからな」
俺も古城もその気にならなかったとき以外で嫌だといったことはない。その気にならないときも、態度があからさまに悪くなるため、嫌だという必要をあまり感じない。
「しつけぇのは嫌われるぞ。……で、本当のところは」
友人の性生活を知っておまえはどうしようというのか。
俺が何か文句をいう前に、古城が明け透けに答えた。
「鬼怒川は、下火でチロチロしてんのを炙り出していじり回して弄んで、追い詰めて、懇願させるタイプだ」
「……予想以上にハードなガチ答えが返ってきた」
言わんことではない。
トノがさすがに表情を崩した。俺に不審なものを見る目を向けるのはやめてもらいたい。
「火が点くとしつけぇのは俺で、絞り尽くすまでヤりたい」
「……おまえらハードだな……」
しみじみとつぶやかれてしまった。
お陰さまで、古城との火遊びは毎回大火傷である。
「じゃあ、おまえはどうなんだよ」
「どうって……性癖がどうのっていうほど楽しい作業じゃねぇけど、気持ちいいしすっきりするから、まぁいいやみたいな」
今となってはその頃のことが思い出せないくらいであったが、そう思えば、下半身の噂が先行していた時期が友人にもあった。
「じゃ、高雅院……」
「高雅院はそんな低俗なことはしねぇ。ウサギみたいな盛り方はしねぇし、発情期迎えたゴリラみたいなこたぁしねぇよ」
高雅院も男である。
好きなやつにそれなりに欲情したっていいはずだ。
「聖人じゃねぇんだから、するだろ」
「セックスは、するだろうが……その相手は俺じゃなく女だろ。男相手にたたねぇだろ。まして俺みたいなセックスアピール乏しい奴に」
トノはセクシーなといわれるタイプではない。
顔はまさにご尊顔で、近寄りにくい程の整い方をしている。
性的なことにはほとほととおい、何か芸術作品を見ているようだとさえ言われている。
過去のトノがそれでも下半身の噂を広めたのは、その時のトノが、やりたいと思っていたから、ソレが本人の意識とは別のところで色気となり、あてられた人間がいたせいだ。
「じゃあ、それでもたつならどうすんだ」
「……………どうしよう」
トノより高雅院の未来が心配になる答えだ。
「高雅院は、テクすごそうだよな」
「……テク……」
「あと、遅そう」
「………遅……」
「なぁ、おトノ様、実は下心ありあり?」
「想像したくねぇけど、期待値はそこそこってかんじだな」
「かわいそうに」
どっちに対してだ。
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