書きなぐり 拾得2 忍者ブログ

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会長編。

しかし、予定のものもやらずに、本当にやっちまったなぁ。


たぶん一匹狼×ヘッドな会長


パソコンでやってなかったので、保存の関係で、大変中途半端なところですが。
多分今日明日中には。
元気があれば、完結編をだしますよ。


本文は続きからどうぞ。










学園には、幽霊がいる。
つい最近になって噂されるようになったことだ。
その幽霊は、放課後には現れない。
決まって、とある教室にランダムに現れ、いなくなる。
誰も使っていない、一番後ろの机に座っているのだという。
一時期その噂で持ちきりだった。
正体を確かめにいこうと騒がしい会計を一笑して、俺は最近、街ではばをきかせはじめた連中をつぶす計画を立てていた。
学園で、会長なんて役職についてしまったがためにストレスがたまって、学外でそのストレスを発散していた。
そうすると、いつの間にかヘッドと呼ばれる人間になっていた。
そうなると、なぜだかまた人をまとめなければならなくなって、やたらと、ほかのチームに喧嘩をうった。
恨まれていたと思うし、今も恨まれていると思う。
ある日、一人の時、囲まれて、何とか勝ったつもりだが、引き分けみたいなもので、疲れて道ばたに座り込んでいるとある男が俺を拾った。
俺は、このとき無性に疲れていて、そいつに言われるままついていって、バイクのって、そいつの家にやってきた。
その日は疲れていたからさっさと寝た。
翌朝、そいつが急に言った。
「名前がねぇと不便だよな」
特に不便なこともないはずなのに、そういって、俺にタロウと名前をつけた。
俺は、思った。
俺がそいつのつけたタロウとかいうのになれば、生徒会だのチームだの、あんなの関係なくなるんだろうか。
疲れていた。
いいわけだが、疲れていた。
ちょっとくらい休んだって罰はあたらねぇだろうと思って、俺は、タロウになった。
よくよくみるとそいつは、俺と同じ学園に通っていた。
しかし、みたことがない顔だった。
一度みると、たぶん忘れることはないだろう、男前といえないこともない類の、強いて言うなら、やばい香りがする顔の、悪い男といった顔なのに、なぜだかみたことがなかった。
俺はなんだか、不信になって、そいつをずっと観察し続けた。
だが、そいつは俺になにか聞いたり、話しかけたりするだけで、俺が会長だとか、早く帰れとか言うわけでもなかった。
たまに、ここにいていいのかだとか、まだいんのかとかいうけれど、いやがって言ってるわけでもないってのも解ったから、俺は気にせずそいつの家にいた。
数日して、そいつがタロウと名付けた癖に、タロウと呼ばないから、思わず、名付けた意味ねぇなって笑ってしまった。
そいつは一瞬呆気にとられ、ゆるりと笑った。
俺はそいつの笑う顔を始めてみた。
目を細めて、口角を少しあげて、声を出すでなく笑うそいつは、なんといったらいいだろうか。俺とは過ごしてきた時間がまったく違うんだろうなと思わせた。
それからというもの、俺はそいつと話すようになった。
くだらねぇことばっかり話した。
本当に実にもならない話が、おもしろかったし楽しかった。
カップ麺とかいうお湯かけ三分の飯ばっか食わせるし、たまにありがたがれよって出したかと思ったら、卵かけご飯だの魚肉ソーセージだの、肉の入ってねぇ焼きめしだし。
俺が今まで受けてきた待遇とまったく違うのがちょっと斬新だったし、ここまで近くに人がいて、ふたりっきりでこの期間というのもなかったものだから、何でも新鮮な気がした。
二週間ほど、俺はタロウだった。
このままタロウでいられたらいいと思っていたが、さすがにそれは、俺の責任感が邪魔をした。
二週間だ。
長すぎるくらい、タロウだった。
捜索願いが出されなかったのは、一応連絡を取っていたからだ。
もう、限界ぎりぎりだった。
生徒会の方も、そろそろイベントごとの準備が始まるだろから、と、俺は、いろいろな理由をつけて、なんとか、タロウから、櫻ヶ崎相模に戻った。
礼のかわりにインスタント麺を買い付けて戸棚に詰め込んで、かりていた服を魚肉ソーセージをビニールごとかみながら畳んで、あいつの家からでた。
街に俺のバイクはおいてある。
仲間が回収して、保管してくれている。
俺は、歩いて、学園を目指した。
遠かった。
何度も、あいつの家に戻ろうと思ったのは、学園が遠かったせいだ。
きっと、そうなのだ。




学園に戻ると、あいつを探した。
名前は知らない。
あいつの家には表札さえなかった。
郵便ポストもなかった。
携帯はもっていたみたいだが、電話もなければパソコンもなく、テレビもない。
そんなところでそいつは、携帯いじったり、たまに本読んだりしていた。
本は、学園でかりてきた本だと言っていたから、図書館棟にいけば、あいつの名前くらい解るだろうと、あいつの読んでいた本のタイトルを思いだし、図書館の端末を調べたが解らなかった。
あいつの読んでいた本の一つに、誰もかりた形跡のない本があったから、たぶん、あいつは図書館でちゃんと手続きをしていなかったんだろう。
なんだかあいつらしく、笑える。だが、手がかりはゼロだ。
俺は、あいつを生徒名鑑でさがした。
名前は解らない。でも、顔なら解る。
いつか見つかる。
だが、あいつはみつからない。
ふと、幽霊の話を思い出した。
あいつは実在しないとか、言わないだろうな。
そう思うと、無性にあいつに、会いたくなって、俺は、学園から、あいつの家に向かった。
すると、そこには理事長がいた。
「な…に、やってんです、か?」
家を取り壊している理事長がいた。
「なにって……もう必要ないからね。僕もほかの家を作ったし」
いったいなにがなにやらわからないまま、あいつの実在していた証拠みたいなもんが薄れてく。
あいつはいるのか、いないのか。
ただ、無性に会いたくて、それなら、初めて会った場所に行けば会えるのかもしれない。
俺は、少ない希望を見出して、街へと急いだ。







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