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もしなおすなら、もうちょっと解り易い話にしたい。
いえ、直し放題ですけどね、書きなぐり。
神出鬼没一匹狼×キスなんぞ挨拶だ会長
一応、完結ですよ。
本文はつづきからどうぞ。
結局、俺は、街であいつを見つけることができなかった。
意気消沈というよりも、虚しさばかり抱えて寮に帰った。
「あ、かいちょー!明日こそ、忙しくなる前に、ゆーれーの正体を…!」
寮の玄関で俺は、会計に捕まった。
会計が相変わらず、謎の幽霊の正体を探りたいらしい。本当は幽霊が怖くて正体を知って安心したいだけじゃないだろうな、こいつは。
「何度も言ったが、そんな非科学的な……」
もしも、あいつがその幽霊で、俺がそんな非科学的な存在をみたというのなら、二週間も一緒にいたというのなら、会ってもいいんじゃないかという気になった。
「確かめてやろうじゃねぇか」
「やった!じゃ、他の怖がってる連中もつれてさぁ…」
会計がやけに盛り上がっている中、俺はふざけんなという気持ちになっていた。
なんで、おまえ、そこにいねぇんだよ。
なにがたまに来てくれればいいだよ。
いねぇじゃねぇかよ。
存在してんのかよ。
存在しててくれよ。
存在しててくれねぇと、拾われた俺はどこに帰ればいいんだ。
八つ当たり気味に思って、俺は、次の日、そのとある教室を見に行った。
生徒会の連中がそろってとある教室に行ったものだから、ちょっとした騒動になってしまったが、俺にとってそこは重要じゃない。
「あれ?余ってる席なくない?」
会計が首を傾げたとおり、その教室には余っている席がなかった。
「ねーちょっと、ねー、君君」
「あ、は、はい」
会計が声をかけると、一番後ろの席にいた生徒がびくりと体をふるわせ、返事をした。
「ゆーれーの席ってしらない?」
「ゆうれい?」
今度は、その生徒が首を傾げた。
その隣にいた、その生徒の友人らしいやつが、幽霊に心当たりがあったらしい。
「あれじゃない、由良君じゃない?」
「ああ、そっか!」
「ゆらー?」
二人で納得する様子に、会計が割って入って尋ねる。
声をかけた方の生徒がまた、びくっとふるえて会計に向き直った。
「あ、えと、俺の後ろの席に、由良令(ゆられい)っていう……その、そういう、人が、一昨日くらいまでいて」
「おとついー?」
「あ、はい。詳しくは知らないんですけど、なんかクラスが変わったんだっけ?」
「え、転校したんじゃない?」
「え?ほんと?」
はっきりしたことは解らなかった。
しかし、由良令という生徒がいたらしい。
由良令は確かにこの教室の、このクラスの生徒だった。
この前開いた生徒名鑑にものっていた。
なんというか、印象に残りぬくい、いかにも真面目そうな生徒という感じだった。たぶん。
なにぶん、俺の印象にもあまり残っていないのだ。
「なんでくらすめーとの行方しらないのー?」
「その……由良くんて、怖くて」
「不良だったんですよ!あの、一匹狼の噂、会計様もご存じですよね?」
一匹狼というのは、この学園にいる不良の一人に与えられた名前で、そいつに会ったが最後、完膚なきまでに叩きのめされ、病院送り。誰も奴の顔を覚えていないし、名前すら解らないというものだった。
そう思えば、俺の探しているあいつは、幽霊よりそっちのが近かい。なんで、俺はその噂を忘れていたんだ。
「たぶん、それが、由良くんなんじゃないかってクラスではみんないってて」
「へー!」
「それで、由良君の名前って、由良令って名前だし、怖いし、あまり教室にはこなかったから、名前がなまったってこともあって、幽霊の話になった……んじゃないでしょうか」
幽霊イコール一匹狼イコール由良令で、あいつ、なのだろうか。
それならば、俺は、学園の資料であいつの行方が追えるはずだ。
転校しているなら、転校先くらい解るだろうし、クラスが変わっているのなら、移ったクラスくらい解るはずだ。
「じょうほーありがとー!よし、由良令ってやつさがそ!ね!副会長!」
「イヤですよ、それで、本当にいなかったらどうするんですか!」
幽霊の存在をかたくなに信じたくない副会長が、自分自身を抱きしめながらいやがったので、由良令をさがすのは、ここでお開きとなった。
しかし、俺は会長特権をつかって、由良令を調べた。
生徒写真はやっぱり真面目を絵に描いたような格好だった。
そして、由良令の行き先はうちの学園の一クラスではなく、転校ということになっていた。
「……お袋のばぁさんとじぃさんが、学校きて引き取るっつうからさ、由良の父親、好きじゃねぇし、それに甘えたわけなんだけどよ」
資料室で生徒名鑑なんかめくって、集中していた為に、俺は、そいつがやってきたことに気がつかなかった。
「なぁ、櫻ヶ崎」
「……タロウ」
後ろで、そいつが笑った。
今日は声を出して笑っている。
「元担任に聞いたら、生徒会長ここにいるっつうから」
「……なにしにきた」
「そりゃあ、もちろん、挨拶だろ」
俺はゆっくり振り返る。
そいつは、やっぱり笑っていた。
ゆるく、口角をあげて、目を細めて、笑っていた。
「家、なくなってんだけど」
「俺が転校決まったら、あの理事長潔くつぶしやがったの。カップ麺は無事だ」
そんなどうでもいいことを言うそいつに、俺も思わず笑った。
「転校先、姉妹校じゃねぇか」
「じぃさんとばぁさん、金持ちでさぁ…。お袋勘当したの後悔したがどうのっつってた」
「勘当ってお前んちどうなってんだよ、さっきから、妙に話が見えねぇよ。てか、おまえ、幽霊とか言われてるぞ」
「よくある愛人の子ってやつ。お袋勘当されてたとか俺が初耳だからなァ。つうか、マジか。今度から真面目に、学校通うわ」
そいつが、手にもったビニール袋を投げる。
俺はそれをうまく生徒名鑑でキャッチすると中を確かめずに尋ねる。
「なに」
「魚肉ソーセージ」
「餞別かよ」
「うまく食えるように、練習しておけよ」
「あれは、魚肉ソーセージの切れ目がよくない」
俺は生徒名鑑と魚肉ソーセージを机において、手のひらをあいつにみせ、指を少し上下に動かした。
意気消沈というよりも、虚しさばかり抱えて寮に帰った。
「あ、かいちょー!明日こそ、忙しくなる前に、ゆーれーの正体を…!」
寮の玄関で俺は、会計に捕まった。
会計が相変わらず、謎の幽霊の正体を探りたいらしい。本当は幽霊が怖くて正体を知って安心したいだけじゃないだろうな、こいつは。
「何度も言ったが、そんな非科学的な……」
もしも、あいつがその幽霊で、俺がそんな非科学的な存在をみたというのなら、二週間も一緒にいたというのなら、会ってもいいんじゃないかという気になった。
「確かめてやろうじゃねぇか」
「やった!じゃ、他の怖がってる連中もつれてさぁ…」
会計がやけに盛り上がっている中、俺はふざけんなという気持ちになっていた。
なんで、おまえ、そこにいねぇんだよ。
なにがたまに来てくれればいいだよ。
いねぇじゃねぇかよ。
存在してんのかよ。
存在しててくれよ。
存在しててくれねぇと、拾われた俺はどこに帰ればいいんだ。
八つ当たり気味に思って、俺は、次の日、そのとある教室を見に行った。
生徒会の連中がそろってとある教室に行ったものだから、ちょっとした騒動になってしまったが、俺にとってそこは重要じゃない。
「あれ?余ってる席なくない?」
会計が首を傾げたとおり、その教室には余っている席がなかった。
「ねーちょっと、ねー、君君」
「あ、は、はい」
会計が声をかけると、一番後ろの席にいた生徒がびくりと体をふるわせ、返事をした。
「ゆーれーの席ってしらない?」
「ゆうれい?」
今度は、その生徒が首を傾げた。
その隣にいた、その生徒の友人らしいやつが、幽霊に心当たりがあったらしい。
「あれじゃない、由良君じゃない?」
「ああ、そっか!」
「ゆらー?」
二人で納得する様子に、会計が割って入って尋ねる。
声をかけた方の生徒がまた、びくっとふるえて会計に向き直った。
「あ、えと、俺の後ろの席に、由良令(ゆられい)っていう……その、そういう、人が、一昨日くらいまでいて」
「おとついー?」
「あ、はい。詳しくは知らないんですけど、なんかクラスが変わったんだっけ?」
「え、転校したんじゃない?」
「え?ほんと?」
はっきりしたことは解らなかった。
しかし、由良令という生徒がいたらしい。
由良令は確かにこの教室の、このクラスの生徒だった。
この前開いた生徒名鑑にものっていた。
なんというか、印象に残りぬくい、いかにも真面目そうな生徒という感じだった。たぶん。
なにぶん、俺の印象にもあまり残っていないのだ。
「なんでくらすめーとの行方しらないのー?」
「その……由良くんて、怖くて」
「不良だったんですよ!あの、一匹狼の噂、会計様もご存じですよね?」
一匹狼というのは、この学園にいる不良の一人に与えられた名前で、そいつに会ったが最後、完膚なきまでに叩きのめされ、病院送り。誰も奴の顔を覚えていないし、名前すら解らないというものだった。
そう思えば、俺の探しているあいつは、幽霊よりそっちのが近かい。なんで、俺はその噂を忘れていたんだ。
「たぶん、それが、由良くんなんじゃないかってクラスではみんないってて」
「へー!」
「それで、由良君の名前って、由良令って名前だし、怖いし、あまり教室にはこなかったから、名前がなまったってこともあって、幽霊の話になった……んじゃないでしょうか」
幽霊イコール一匹狼イコール由良令で、あいつ、なのだろうか。
それならば、俺は、学園の資料であいつの行方が追えるはずだ。
転校しているなら、転校先くらい解るだろうし、クラスが変わっているのなら、移ったクラスくらい解るはずだ。
「じょうほーありがとー!よし、由良令ってやつさがそ!ね!副会長!」
「イヤですよ、それで、本当にいなかったらどうするんですか!」
幽霊の存在をかたくなに信じたくない副会長が、自分自身を抱きしめながらいやがったので、由良令をさがすのは、ここでお開きとなった。
しかし、俺は会長特権をつかって、由良令を調べた。
生徒写真はやっぱり真面目を絵に描いたような格好だった。
そして、由良令の行き先はうちの学園の一クラスではなく、転校ということになっていた。
「……お袋のばぁさんとじぃさんが、学校きて引き取るっつうからさ、由良の父親、好きじゃねぇし、それに甘えたわけなんだけどよ」
資料室で生徒名鑑なんかめくって、集中していた為に、俺は、そいつがやってきたことに気がつかなかった。
「なぁ、櫻ヶ崎」
「……タロウ」
後ろで、そいつが笑った。
今日は声を出して笑っている。
「元担任に聞いたら、生徒会長ここにいるっつうから」
「……なにしにきた」
「そりゃあ、もちろん、挨拶だろ」
俺はゆっくり振り返る。
そいつは、やっぱり笑っていた。
ゆるく、口角をあげて、目を細めて、笑っていた。
「家、なくなってんだけど」
「俺が転校決まったら、あの理事長潔くつぶしやがったの。カップ麺は無事だ」
そんなどうでもいいことを言うそいつに、俺も思わず笑った。
「転校先、姉妹校じゃねぇか」
「じぃさんとばぁさん、金持ちでさぁ…。お袋勘当したの後悔したがどうのっつってた」
「勘当ってお前んちどうなってんだよ、さっきから、妙に話が見えねぇよ。てか、おまえ、幽霊とか言われてるぞ」
「よくある愛人の子ってやつ。お袋勘当されてたとか俺が初耳だからなァ。つうか、マジか。今度から真面目に、学校通うわ」
そいつが、手にもったビニール袋を投げる。
俺はそれをうまく生徒名鑑でキャッチすると中を確かめずに尋ねる。
「なに」
「魚肉ソーセージ」
「餞別かよ」
「うまく食えるように、練習しておけよ」
「あれは、魚肉ソーセージの切れ目がよくない」
俺は生徒名鑑と魚肉ソーセージを机において、手のひらをあいつにみせ、指を少し上下に動かした。
あいつは、それに招かれるまま俺にちかづいた。
俺は、あいつのシャツの襟つかまえて、引き寄せて、唇に噛みつく。
「っ…!」
あいつが後ずさった。
本当に俺が唇に噛みついたからだ。
「おい」
「餞別」
「キスでもどうかと思うのに、なんで、噛むんだ、いてぇだろ」
「なぐらなかっただけましと思え」
「殴られる理由もわからん。つうか、どうして、こうなった」
血が出てきたせいだろう、唇をなめるあいつは、なんだかエロい。
「おまえ、拾っといて、俺のこと放置するから」
あいつが、眉間にしわを寄せる。
「そういう告白まがいのことは、こういうことをする前に言え」
ひときわ大きなため息をついて、あいつは、俺に背を向けた。
「答えてくれねぇの」
「ギョニソ食えよ」
「おい」
「じゃあまたな」
さっさと資料室からでていくあいつは、本当に薄情だ。
なんだか去り際まで、あいつのペースで、俺は追いかけることもできないで、仕方なく、ビニール袋から魚肉ソーセージを取り出すためにビニール袋を覗く。
そこには魚肉ソーセージとレシートが一枚。
レシートには、魚肉ソーセージを買った店舗と、値段と、釣りが表記されており、裏面にメールアドレスがあった。
俺は、そのメールアドレスにハナコと表記して登録してやった。
俺がタロウなら、あいつはハナコだ。
電話帳に登録した名前をしばらく眺めたあと、俺は、魚肉ソーセージのビニールと格闘することにしたのだった。
俺は、あいつのシャツの襟つかまえて、引き寄せて、唇に噛みつく。
「っ…!」
あいつが後ずさった。
本当に俺が唇に噛みついたからだ。
「おい」
「餞別」
「キスでもどうかと思うのに、なんで、噛むんだ、いてぇだろ」
「なぐらなかっただけましと思え」
「殴られる理由もわからん。つうか、どうして、こうなった」
血が出てきたせいだろう、唇をなめるあいつは、なんだかエロい。
「おまえ、拾っといて、俺のこと放置するから」
あいつが、眉間にしわを寄せる。
「そういう告白まがいのことは、こういうことをする前に言え」
ひときわ大きなため息をついて、あいつは、俺に背を向けた。
「答えてくれねぇの」
「ギョニソ食えよ」
「おい」
「じゃあまたな」
さっさと資料室からでていくあいつは、本当に薄情だ。
なんだか去り際まで、あいつのペースで、俺は追いかけることもできないで、仕方なく、ビニール袋から魚肉ソーセージを取り出すためにビニール袋を覗く。
そこには魚肉ソーセージとレシートが一枚。
レシートには、魚肉ソーセージを買った店舗と、値段と、釣りが表記されており、裏面にメールアドレスがあった。
俺は、そのメールアドレスにハナコと表記して登録してやった。
俺がタロウなら、あいつはハナコだ。
電話帳に登録した名前をしばらく眺めたあと、俺は、魚肉ソーセージのビニールと格闘することにしたのだった。
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