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ちょっとだけ恋愛あるかもしれない。
じんわりと。
本文は続きからどうぞ。
シギは、この学園ではイレギュラーな存在だった。
シギは、姿形だけではなく、すべてにおいて秀でたものがある。
成績優秀、運動神経抜群。この学園においては将来性があるといえるものではないが、一般的にいうと大変恵まれた家柄でもあり、こんな普通に考えたらやっかいとしか言いようのない能力を開花させておきながら、家族の信頼もしっかりと得ている。
ただ、シギはあまり性格はいいとはいえなかった。悪いわけではないが、やはりいいとはいえなかった。
しかし、この学園では性格の良し悪しなんてちょっとしたスパイスくらいにしかならない。もちろん、人付き合いという面でおいて性格が悪い奴より、いい奴と一緒にいたいとおもうのは、この学園でも同じことだ。でも、それ以上に能力の有無、使えるか、使えないかがこの学園のすべてだった。
シギは、その面でおいて、イレギュラーだったのだ。
「勝木、ここで強い奴ってのはどいつだ?」
そんな性格がいいとはいえないシギの案内役、世話役をしていた俺は、シギの友人となってしまった。
「どいつって、生徒会は軒並み強いとされてる人たちだし、風紀委員会なんて強くなきゃ入れないけど」
シギは聞いておいて、曖昧に、興味がないように頷いた。
「……おまえ、会計やってたよな」
「ん、そうだよ」
「リツ」
シギが名前を呼ぶと、その姿を人に見せる式は、どこからみても人間で、この学園の人間がみると化け物だった。
式とはだいたいは、紙などや他の媒体で作るものだ。たまに化け物や他の生き物たちがやってはくれるが、それはただ事ならぬ縁か、その人間の実力によるものだ。
それとはまた違い、シギの式であるリツが化け物であるのは、その姿などに由来したものではない。その力そのものが化け物なのだ。
名はなく、神でもない。
それがもつのは、化け物と呼ばれるにふさわしいあり得ない力だ。
「お、勝木くんじゃーん。こんにちはぁ」
嬉しそうにこちらに手を振ってくるリツには、俺もさすがにもう慣れた。
シギをイレギュラーにしてしまった一つ目の原因が、俺を上から下まで見て首を振った。
「勝木くんは無理だね。条件がそろわない」
「強いは強い、か」
「聞かなくてもわかるんじゃなぁい?その辺は俺より、その目のがよく見えるでしょう?」
「あんまり見るのは好きじゃねぇんだよ。疲れる」
「若いんだから、もっときびきび働いてもいいんじゃないの?」
リツに、シギがいかにも面倒くさそうで嫌そうな顔をした。
シギをイレギュラーにしている第二の原因である目については、俺もあまり使われたくはない。
「りっくん、それは年寄り臭い発言という奴だよ」
「え、そんな風に思ってくれちゃってるの?」
「若さを引き合いに出す奴はだいたい年寄り臭く見えるもんだぞ」
「ぐ」
皆が化け物と呼ぶ式は確かに化け物だし、恐れるのも仕方ない気分屋だ。
俺は自分自身の能力を信じているからリツと平気な顔をして会話をしていられるが、もし、シギと親しいだけだったらリツがでてきたらよそよそしい態度をとったに違いない。
だが、それは逆効果で、そうすることによってリツを遠ざけることはできても、もしもの時気分の傾きがマイナスへと向かう。
「うええええ、勝木くうぅん」
「抱きつくのはやめてね。俺の能力がしばらく使いものにならなくなっちゃうから。何せ、繊細だから」
「いけずーいけずううう」
俺は笑いながらきっぱりとリツとの間に線をひき、シギはそれを楽しそうに眺めていた。
「片想いだな」
「え?両想いだよね……?」
この化け物はいったいなにを言っているんだ。
そう思いながら、俺はやはり笑って誤魔化した。
「勝木くんはミステリアスだねぇ。シギとは大違いだよ!」
「俺が解りやすいって?そこが魅力って奴だろう」
そうやって、二人がテンポよく会話をするものだから、俺はシギがどうして強い奴のことを聞いてくるかだとか、何の条件が揃わないかということを聞き忘れてしまった。
シギは、姿形だけではなく、すべてにおいて秀でたものがある。
成績優秀、運動神経抜群。この学園においては将来性があるといえるものではないが、一般的にいうと大変恵まれた家柄でもあり、こんな普通に考えたらやっかいとしか言いようのない能力を開花させておきながら、家族の信頼もしっかりと得ている。
ただ、シギはあまり性格はいいとはいえなかった。悪いわけではないが、やはりいいとはいえなかった。
しかし、この学園では性格の良し悪しなんてちょっとしたスパイスくらいにしかならない。もちろん、人付き合いという面でおいて性格が悪い奴より、いい奴と一緒にいたいとおもうのは、この学園でも同じことだ。でも、それ以上に能力の有無、使えるか、使えないかがこの学園のすべてだった。
シギは、その面でおいて、イレギュラーだったのだ。
「勝木、ここで強い奴ってのはどいつだ?」
そんな性格がいいとはいえないシギの案内役、世話役をしていた俺は、シギの友人となってしまった。
「どいつって、生徒会は軒並み強いとされてる人たちだし、風紀委員会なんて強くなきゃ入れないけど」
シギは聞いておいて、曖昧に、興味がないように頷いた。
「……おまえ、会計やってたよな」
「ん、そうだよ」
「リツ」
シギが名前を呼ぶと、その姿を人に見せる式は、どこからみても人間で、この学園の人間がみると化け物だった。
式とはだいたいは、紙などや他の媒体で作るものだ。たまに化け物や他の生き物たちがやってはくれるが、それはただ事ならぬ縁か、その人間の実力によるものだ。
それとはまた違い、シギの式であるリツが化け物であるのは、その姿などに由来したものではない。その力そのものが化け物なのだ。
名はなく、神でもない。
それがもつのは、化け物と呼ばれるにふさわしいあり得ない力だ。
「お、勝木くんじゃーん。こんにちはぁ」
嬉しそうにこちらに手を振ってくるリツには、俺もさすがにもう慣れた。
シギをイレギュラーにしてしまった一つ目の原因が、俺を上から下まで見て首を振った。
「勝木くんは無理だね。条件がそろわない」
「強いは強い、か」
「聞かなくてもわかるんじゃなぁい?その辺は俺より、その目のがよく見えるでしょう?」
「あんまり見るのは好きじゃねぇんだよ。疲れる」
「若いんだから、もっときびきび働いてもいいんじゃないの?」
リツに、シギがいかにも面倒くさそうで嫌そうな顔をした。
シギをイレギュラーにしている第二の原因である目については、俺もあまり使われたくはない。
「りっくん、それは年寄り臭い発言という奴だよ」
「え、そんな風に思ってくれちゃってるの?」
「若さを引き合いに出す奴はだいたい年寄り臭く見えるもんだぞ」
「ぐ」
皆が化け物と呼ぶ式は確かに化け物だし、恐れるのも仕方ない気分屋だ。
俺は自分自身の能力を信じているからリツと平気な顔をして会話をしていられるが、もし、シギと親しいだけだったらリツがでてきたらよそよそしい態度をとったに違いない。
だが、それは逆効果で、そうすることによってリツを遠ざけることはできても、もしもの時気分の傾きがマイナスへと向かう。
「うええええ、勝木くうぅん」
「抱きつくのはやめてね。俺の能力がしばらく使いものにならなくなっちゃうから。何せ、繊細だから」
「いけずーいけずううう」
俺は笑いながらきっぱりとリツとの間に線をひき、シギはそれを楽しそうに眺めていた。
「片想いだな」
「え?両想いだよね……?」
この化け物はいったいなにを言っているんだ。
そう思いながら、俺はやはり笑って誤魔化した。
「勝木くんはミステリアスだねぇ。シギとは大違いだよ!」
「俺が解りやすいって?そこが魅力って奴だろう」
そうやって、二人がテンポよく会話をするものだから、俺はシギがどうして強い奴のことを聞いてくるかだとか、何の条件が揃わないかということを聞き忘れてしまった。
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