書きなぐり 王道的な 忍者ブログ

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本気で眠いので微調整と手直しは明日?今日?します。

空席やらなきゃなぁ


本文は続きからどうぞ

見守ることを選んだんだな。と何となく理解してしまったのは、俺が三人とは違う位置、とおい距離、関与できない場所にいたからで。
やさしいひとと誰かがいった。何も知らないくせにと誰かが泣いた。頬を拭って抱き締めて。
気が付いたら三人は二人になって、三人の1人は一歩離れて笑っている。
だから、俺は、微力ながらそんなあんたが寂しくないように願っている。
まぁ、ほんと、微々たるもんだが。
「そーちょー!」
「あ?」
「どこ眺めてんの?」
「……遠く?」
「え、ボーッとしてた?」
「まぁ、似たようなもんだが」
俺はこの距離を縮めない。その代わり、遠くにもいかない。あんたが近くなる分にはまぁ、いいかと思っている。
あんたは、いつも笑ってるから、俺が見ていたと気が付いても、俺がみていると気が付いても、笑うんだろう。
所謂薄ら笑いって奴で。
「うちのそうちょーってなんでいっつもぼーっとしてるのかねぇ」
「いや、けど、総長がボーッとしてなかったら、なんかちがうくね?」
「ちげぇねぇ。あのぼんやり感がうちの総長だわ」
暢気、陽気、気がよくて、喧嘩もしねぇし、バイク好きが集ってるだけ。一応、総長だの副長だの決めましたみたいな、うちの集まりとはあんたのチームは縁がない。
近づくことなんかはないだろう。
俺はだから、そのまま眺めて、ぜんぜんためになんねぇ祈りとやらを捧げる。
「なぁ」
「なんすか、総長」
「アレなんだ?」
だから、予想だにしないできごとが起こると頭を抱える。
「うちのメンバーの親戚なんだって」
別に喧嘩をしたいわけではないし。
その親戚とやらがどれだけそいつを溺愛して大切にしてようが、うちの和を乱すのは遠慮したい。
「ちょっとそいつ呼んでこい」
「おーい、キスギー」
「あー?」
「そーちょーのおよびー」
「え、あー?」
緩すぎるのも問題あるか…?そんなことを思ってしまう返事を聞きながら待っていると、キスギはこちらにやってきた。
「なんすか、総長」
「何で連れてきた?」
「何でって…うちの大事な誠也くんをヤンキーの群れから救ってやろうと…」
「……誠也くんとやらも誰か連れてこい」
すごくビビってかわいそうな誠也くん。
幼さを残す顔にでっかい目はたれ目。普通より少しかわいいといっていい顔。
まごうことなき、三人の内の一人。
俺の目の前までやってきて、俺を見て、一瞬ポカンとする。アレ?といった顔といってもいい。
顔見知りではない。
ただ単に、この集団のなかに俺みたいな奴がいるというのが物珍しいのだろう。
「…ここの、一応、肩書き上は、頭ァはってる、百舌鳥(もず)だ。あー…率直に聞く。自分の意志でここに来たか?」
ちらっとキスギをみたあと、遠慮がちに、首をゆるく誠也くんはふった。
残念なことに、半拉致のようだ。
「めんどくせぇ」
ため息。
おそらく、お迎えが来てしまうだろう。
「キスギ、この子かえしてらっしゃいよー。俺もめんどー」
と、これはうちの副長が。
喧嘩はしない。
できる奴もいればできない奴もいる。
喧嘩はしない。
「え、だ、だって、副長!」
そして俺の意見より、副長の意見のが強いのがうち流。
「ケンカの種になるでしょー?うちは喧嘩しなぁーいの。そんな体力あったらボランティア活動でもしてなよ」
ボランティア活動をするヤンキー。
すごいな、なぜヤンキーになった。
俺は、もう一度だけため息を吐いて、誠也くんが落ち着くだろう俺の傍に置く。
外見からしてヤンキーだらけのそこに、ぽつんと一人。
クラスに一人はいそうな、目立つでなし、影が薄いわけでなし。
そういう感じが漂う、俺。
「あ、あの、百舌鳥さん!」
「もっさんとかでいい。…ぴったりだろ?」
なるほどという顔をした誠也くんは正直者だ。
「え、そーちょー何それぴったり。もっさんってよんでい?」
「ちゃんとキスギを説得できたら」
その前にお迎えがくるだろうが。



そして案の定。
世界はせまくて、お迎えにやってきた二人をお迎えする。
二人とは一応顔見知り。
「誠也を返せ」
俺ははいどうぞと渡すだけなのだが、誠也くんはなかなかどうして、大物なのかもしれない。
俺のお向かいにて眠そうにしていたから席を譲って、二人がけソファー寝ている。
近くにいた俺は心穏やかならざる人間を前に頷いた。
副長に説得され続け、嫌だーとなっているキスギくんをおいといて、俺は小声で続ける。
「…もう少し、話を聞いてやれよ」
誠也くんは、俺に話し掛けたあと、ずっと、好きだし、付き合っているけど、どうすればいいのかという話をしていた。
だって釣り合わないからみたいな話を。
俺は結局、頷いて聞いただけ。結構満足したらしい。そしてこうなっているのがいいのか悪いのか。
余計なお世話を口にしてしまったが。まぁ、俺のポジションは変わらないし、かえるつもりもない。
これ以上関わることもないだろう。
「るせぇ」
ちょっと思うところがあるらしい。悪態をつかれてしまった。
その一歩後ろ、相変わらずへらへらと笑うあんたも、怒ってる。
俺はむしろいいことをしたくらいなのに、嫉妬の対象にはなるもんなんだな。
「ほら、連れてきな。寝てるから、そっとな」
そっとお姫さま抱っこで連れていかれる誠也くん。大事にされているのをさらに大事そうに見つめてるだろう背中を見送る俺。
これで、何時もどおりだろう。
不意に振り返る。
「二度はねぇ」
それはお互い様じゃないだろうか。と思いながら、俺は久しぶりにヤンキーらしく正面を見据える。
「てめぇこそ、二度はねぇ」
喧嘩は買わない。
喧嘩ができない奴もいれば、できる奴もいる。
だから、喧嘩はしない。
それが、うちのルールだ。だが、一方的に痛め付けられることに、ルールは存在しない。
「そうだよねぇ、今回はうちが悪かったけど、でも何もしてないのに、これはダァーメ」
にやにやと笑ったうちの副長はあんたと少しかぶってて、あんたは、眉を少しあげる。
「うちは非戦闘員多いしねえ」
興味なさそうに三人を見ていた奴らが、一瞬にして雰囲気をかえる。
やだねぇ、血の気の多い。
「覚えておくといいヨォ。総長はあんなだけど、やるときは殺るんだから」
なんか物騒なこといわれた気がすんなぁ…。



やる時とやらは意外とあっさりやってきた。
あの二人が何かしたのではない。
トラブる体質な誠也くんが巻き込まれ、右往左往したキスギが首を突っ込んだ挙げ句、俺が行かざるを得ない状況になってしまったのだ。
「キスギはなんで、落ち着かなかったか…」
「んー…まぁ、総長がんばって!」
副長にドンマイされて、俺はため息を吐く。
仕方ないか。
ばっさばさと鬱陶しい前髪を軽く後ろに流す。
「やだっ!総長エロいっ」
「うっせ!気にしてんだよ!」
たれ目に釣り眉、目元に黒子ときては、エロいエロいと大評判で…。
気にして前髪のばして隠せば、ヤンキーどもにはなめられて。結局、やる時とやらがきたらこうしなければならない。
「人は見かけじゃねぇんだよ!」
「総長がいうと、迫られまくった挙げ句、人間不振になった人の言葉っぽーい」
「ほっとけ!」
あぁ、イライラする。
八つ当りにチーム壊滅、人質にされてた連中にも怯えられる始末。
イライラ通り越して泣きたい。
バイクを走らせるしかない俺は何処の青春小僧だ。
ああ、やだやだ。本当やだ。
と、勢いで遠乗りしたあとの帰り道。
一度つながった糸は健在だといわんばかりに。
あんたがとぼとぼと言うか、足やった?みたいな体でずるずる一人歩いてる。
一度は、無視をして通り過ぎた。
けれど、性分だ仕方ねぇ。
バイクをとめて、あんたがくるのを待つことしばし。
あんたは笑わない。
笑えない。
だって結局一人なんだ。寂しいもんだ。
なのに、こんなところで、何者かわかんないやつに待ち伏せされている。
そりゃあ、笑えねぇよ。
ためいきついて、お節介なんか焼いたって、このバイクにゃ乗らねぇだろうなと思いつつも。
「乗らねぇ?」
フルフェイスごしのお誘いに、しばらくあんたは悩んだ。
普段なら悩まなかったろうに。疲れてたんだろうよ。あんたは頷いた。
俺はフルフェイスを脱ぐとあんたに投げつけて。あんたを待った。
あんたがどこに行きたいかもわからねぇけど。あんたはどっか違う場所に行きたかったんだろうな。
俺はただ、バイクを走らせて、誰もいない場所で『あんたの目、エロい』何ていわれながら、あっさりあんたを頂いた。
そういう慰めがほしい日がある時もあるもんだ。
次の日にはあんたより先にいなくなる。



俺は結局、少し後ろから見守ることにした。
傷ついてるんだ。それを我慢してるんだ。かっこいいフリをして。
つらいつらいを1人で繰り返す。
ある日、プツッと糸が切れて。
あの子を助けるんだって、助けた結果、おった怪我をそのままあてどなく歩いた。
一台の大型バイクが通り過ぎたあと、しばらく歩いていると、そいつは、俺を待っていた。
もうどうでもいいと、投げ遣りな俺はそのままそいつのバイクに乗って、どこかよく知らない場所で、そいつに身体をやった。
朝起きると、そいつはいなくて、俺はよく見知った場所にいた。
昨夜、一騒動あったためもぬけの殻だった溜り場に、俺はいた。
夢かと思った。
生々しく感触が思い出される。
最後まで無口を貫いた男は憎らしいまでにうまかった。
エロい顔の男。
見慣れた溜り場のソファー。起きれない。
腰抜け状態で俺は苦笑する。
寝落ちる直前。
そいつの手が、優しかったから。
俺はついつい、この状態を何か他のもののせいにできない。
ずるい奴もいたもんだと、昨夜よりも軽い心持ちで俺は二度寝に入る。
起きたら、そこには心配そうな顔が一つ。
「……だぃじ…ぶ…」
意外と声が枯れていて、笑いそうになりつつ、ペットと言うと、水入りペットが飛んできた。
キャッチして一気に半分ほど飲むと、ふにゃりと何時もどおり笑う。
「大丈夫。寝てただけだし、ね?」
急にふらっといなくなった俺を気にしてくれたのかもしれない。
それとも、そんな余裕はなくて、ここに来たら意外とボロボロな俺に心配になったのだろうか。
「…そっか」
なんて、心配そうな顔のまま。
俺はだるさが引いた身体を確認する。
意外ときっちりどころか、多分、怪我の手当てまでしてくれている。
これは寝ている間にしてくれたんだろう。
「これ、せいちゃん?」
「ちがうよ、来たらそうなってた」
あぁ、じゃあ、あの男か。
まるでなかったことのように俺をここに寝かせた割に、律儀というか。しっかり残していってる。
ほっときゃいいのに、できないんだろう。
「そ。じゃあ、お礼いいそびれちゃったなぁ」
あんなエロい顔の男、この辺じゃ見ないけど、のっていたバイクから割り出せるだろう。
なんて、本気で探してどうするんだ?
とか、考える時間がふえてくにつれ、ぼんやりとしはじめた俺は、何かあったかとよく聞かれるようになった。
いつも、気が付くのが遅い。気が付いたら、あれから半年。
探すには遅いかもしれない。
けれど。



会わなければならない。
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