書きなぐり そういう風に考える 忍者ブログ

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カップリングとかのネタバレがおおく含まれるハイロー。
最新まで読んでる方向けです。
一織の理由を考えているキョウスケの独り言のようなもの。








一織という人間が昔から求めていたのは魔法である。
それは手段だ。
一織という人間が認められるための手段が、魔法だった。
それは、一織をとりまく環境がそうであるからそうなっただけで、魔法にこだわる必要はない。
魔術都市にいた頃の一織は、魔法が使えないから父母に認めて貰えなかった。
子供にとって父母は大きい。魔法にこだわってしまうのもいた仕方ないだろう。
一織を最初に認めたのは、家庭教師だった。優秀な成績を収める、そのためにすること、本を読むことを好きにしたのはそのせいだ。
次に認めたのは十織である。しかしそれは、一織にとって辛さも伴うものだった。近くにいたから、兄だから、少しでも大きく見せたかったのだろう。
それでもなんとかやっていられたはずなのに、実験するために生きろと言われた。
一織は生きるために弟から離れ、魔法機械都市にきた。
魔法機械都市には多くの手段が存在した。多すぎた。おそらく、それらは一織を余計に一人にさせただろう。
そこに、寿が手を差し出した。昔から窮屈そう見える人間が、こーくんは好きだ。こーくん自身は魔法が使えるというのに、魔法を捨てている大馬鹿野郎だという認識が一織にはあった。
最初はもちろん、こーくんの片想いのようなものだ。しかしそれでも、こーくんは話かけ続けた。
三歳年下の弟がいると知ったときから、こーくんは俺の話をするようになった。
俺は、まるで魔法のようであったそうだ。
魔法を使わずとも、一織にはおよびもつかないことをする。
実在しているが見える範囲にはいないおとぎ話が、俺だった。
そうしてこーくんは一織の友人になったが、一織は、こーくんをそれ以上だとは思わなかった。こーくんは、やはり、一織にとって羨ましい存在だったのだ。たとえ、魔法機械都市からでられなくても、こーくんは魔法が人並み以上に使える。手段が増えても、一織には魔法という手段がすべてだったから、こーくんを憎むことはなくとも羨まずにはいられなかった。
こーくんと親友として別れ、認められるために入った学園で一織は俺と出会った。
一織は、俺が好きだったわけじゃない。
俺が学園で有名になる前から反則を知っていたが、手強そうだなと思うだけだったそうだ。
求愛だなんて偶然の出来事で、それを本物にしようとしたのは好きだったからじゃない。
鮮やかに負けたと感じ、もう一度戦いたいと思ったからだ。
一織も負けたことがないわけじゃない。魔法は打ち消すが、使うことができないのは一織にとって常に敗北であったし、魔術を学んでいた人間が武器で負けたことがないはずがない。
ならば何故、俺と戦ってそうなったのか。これもまた、偶然だ。求愛というシステム負荷は、起こる可能性が少ないだけに、人に印象付けるのだ。
そして一織は、俺が御伽噺で有ることを知った。
だから気持ちが持っていかれたというわけでもない。
俺はいつも、一織の気持ちが変動したときに居て、話をしていた。
そう、タイミングが良かっただけなのだ。
俺はいつも、そうやって一織の理由を推し量っては、笑われる。
「くだんねぇなぁ」
笑いながら、一織は俺に寄りかかる。
少しだけ寂しげに、けれどけして離れようとはせずに。

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