書きなぐり 金星からの恋文 忍者ブログ

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さっさとアップしたかったんです。
という理由だけでここにアップ。
かなり超展開。
どっちが受でどっちが攻かって、こいつらリバップルですから。
といいきる会計と元風紀委員長な話。
というか、役職で見るより、性格でみたほうがいいかもしれない。
フラフラしたマイペースと、どっしりした待てる人の話。




何も聞かない。何も言わない。
そういう人なんだってわかっていたから俺は、あんたと居たんだ。
17歳、冬。12月も半ば。
初めて手に取った恋人の手は冷たくて、待ってた?と尋ねるのも野暮な気がして、俺は苦笑を浮かべる。
恋人に献身的な人ではないんだ。
まして俺が好きで好きで仕方ないってワケでもないんだ。
俺だってそう。この人のことは、好きじゃない。俺が俺の都合で告白をしたのだ。
「別れようか、司(つかさ)」
「了解」
苦笑したいい男に、俺も笑う。
「長い間、お世話になりました」
「いいえ、こちらこそ、一年間、楽しかった」
恋人との会話とは思えない。
いや、元恋人か。
「じゃあ、また、どこかで」
どこかで。なんていうけれど。そうそう会えるような人でもない。
その人は俺にマフラーを渡して、頷く。俺が寒そうなのを見かねたのだろう。
こういう優しさをたまに見つけるたびに、ほんと、いい男だなって思う。
「ん、じゃあ、あえないことを願って」
会わない方が、俺もその人も幸せってこと。
まぁ、そうだ。俺も頷く。
さて、俺はやるべきことをやってこようかと歩き出す。

 

17歳、春。
新入学生がキャッキャッキャッキャと騒ぐ中。
俺はそれにまじって、あへあへ笑っていた。
へらへらともいえたかもしれない。
「はい、皆静かにねー。今からだぁーいじなお話あるからねぇー」
たまに手を振ってにこにこへらへらふにゃふにゃ。
定規を背中にさしたくなるような態度。
俺は綺麗に整列している新入生たちを眺める。
いや、皆若いね。二歳くらいしか違わないのに、ほんと、若いね。
きゃーだなんていって楽しいのかね高校生男子が。
いや、もう、気分は保父さん?
いつもにこにこふにゃふにゃの保父さん?
はいはい、みんなかわいーねーははは。
そして静かにならない新入生。俺は柔和な笑顔を浮かべたままマイクに向かってひとこと。
「ざっけんな黙れクソが」
ああ、保父さんへの道は遠かったー。沸点意外と低いよねってよく言われる。
「はいはーい。みんな静かになったねーじゃあ、ルールを説明するねー」
新入生歓迎会だなんてクッソ面倒くさいゲームを実行するために、俺はルールの説明をする。
念願叶って生徒会入りした高校三年現在。
盛りのついた小動物を避けつつ、生徒会長に近づきつつ。
どーして俺がこんなしょうもないことしなくちゃなんないのよ。とぼやきつつ。
ルールを説明したあと、見詰めた講堂入り口付近。ヤンキーのたむろすそこを笑いながら散らすご主人様。
風紀委員長、桐生法人(きりゅうのりひと)は今日も楽しそうだ。
ニコッと笑って手を振ると、風紀委員長が呆れたように手を振ってくれた。
俺のご主人様。
といっても、お家の都合なのだが、おおよそ不満はない。まぁ、そのお家の都合で俺の主人は風紀委員長なのだが。
その風紀委員長の命令とかにより俺は、生徒会長に近づかねばならなくなった。
はて、これは困った。
命令された当時、俺に知名度なんてなかった。本当、地味に、控えめにヤンキーやってた。
地味で控えめでヤンキーってどういうこと?って思うだろうけど、ヤンキーの中じゃ目立つことがなかった。っていう話。
すると、俺も色々あってご主人様に超悪態をつくけれど、まぁ、ご主人様の命令を聞かないわけにもいかないわけで。
知名度も欲しかったんだよね。
手っ取り早く風紀に入っちゃえばよかったのかもしれないけれど、そうするとほら、生徒会に入れないから。
仕方なしに知名度上げるために手っ取り早く容姿を磨いて、一石二鳥でお付き合いを申し込んだ。
それが、俺の元恋人だったわけだ。
この学園のどこかで元気にしていると思う。
結構有名な人だったんだけど、三年生になると、一部を除き、ホント、何が起こったの?というくらい地味になる。
その成果もあって、俺は今、ここにたっているわけで。
ステージ上。
散らされるヤンキーの中。
各々すきなようにしている生徒の中。
元恋人を探す。
いないことは解ってる。
サボり常習犯がここにいないことは解ってる。
けど、探しちゃうのは、癖みたいなものだ。
誰よりも一番先に見つけて、笑いかけてたからね。
こうやってステージから見渡して視界の先にいないってのは、寂しいもんなんだね。
まぁ、しってたよ。

 

17歳、初夏。
やっぱり、俺の目は誰よりも元恋人を探す。
そんな中でも、俺はご主人様に言われたとおり、会長に近づく。
理由なんて特に聞かなかったけれど、なるほど、我らがご主人様は会長様がすきなんだな。と思う。
近寄れば近寄るほど解る、会長、ご主人様の好み、どんぴしゃ。
かわいいねぇ。会長様はかわいい。
俺様俺様と言われるわりに、心配りが男らしいというか。
黙して語らないそこがいいというか。
男前なんだよね。記憶力もいいから、そんなこと覚えてたの?っていう細かいことまで覚えてるし、あえてそれを言わないところもほら、すごくかっこいいじゃない。
そんな男前がだよ、我ら風紀委員長に頼りにしてるなんていうんだよ?そりゃあもう、主人陥落。溺愛砂糖漬けだよ。もう、スイーツだよ。
他の奴に好かれちゃいねぇかと、そわそわそわそわ。ええいいっそのこと、スパイを送り込めと俺に白羽の矢が立ったと。
なんで俺かっていうと、なにかと心配な俺のことをおもって…と、まぁ、ご主人様にも思惑があってね。
まぁ、うまく言ってないと思うけどねぇ。
「たく…クソが」
悪態つきたくもなるってもんだ。
近くにいた副会長にビクってされたから、ふにゃあ…と花が綻ばんばかりに微笑んでおいた。
あ、気のせい、だったんですね…と気のせいにしてくれた副会長は優しいものだと思うよ。
素行不良だった俺を知らないからなー副会長。
可愛らしいものだよ、あの程度の腹黒なんて。
予算案をエクセルで表計算させながら、ああ、予算運用がおかしいなってクラブに殴りこみにいく算段を立てる。
あとでしんどいのは風紀なんでしょ?よし、殴りこもう。

 

17歳、夏。
夏だ!プールだ!会長、昨日はなんか激しかったんですか。後ろの首筋に赤いあと。はい、うちのご主人様がすみません。
とまぁ、俺の役目はスパイから会長護衛に変わった頃。
可愛らしい会長の話を風紀委員長に聞かされまくって、三回に一度は黙れクソがシネカスが。と拳骨お見舞いするようになってしばらく。
夏休みの眩しい日差しの中、俺の腹筋に水をためて遊ぶ双子の書記。
「あーちゃんすごーい!腹筋に水が流れるー」
「われてるすごーい!」
盛りのついた小動物とは違って、打算的じゃない歓声を上げる双子は、正に無邪気。
ぐりぐりと二人同時に頭を撫でて、びしょぬれの腹筋以下には触れないでおく。
ご主人様含む生徒会役員できたホテルのプールは貸しきり。
これだから金持ちって奴は。
「つーくんと一緒ー」
「そーおもえば、身長とかもいっしょくらいー?」
最近いっしょにいないしわかんない。なんていう双子。同時に首をかしげる双子。
双子のタイミングの神秘。
とりあえず、つーくんって誰だ?と思ってるあいだに、双子は決心したらしかった。
携帯を取り出し、オンフックでお電話。
「…あんだよ、お前ら、しつこい…今起きたところだ…」
電話から聞こえる、元恋人の声。
つーくんって司か。
「今起きてるのがおかしんだよー!今はお昼だよ?お昼なんだよー!」
「お昼に起きる、つーくんがおかしいんだからー」
「ねー?」
「ねー」
俺にねー?とやってくるもんだから、ついつい俺も双子に混じって、ねーとかいってしまった。
携帯のスピーカーはオンフックだ。
俺の声も筒抜けだ。
「おい、義哉、正哉(よしや、まさや)」
「なぁーにー?」
「……もしかして生徒会で出かけてんのか?」
「そうだよー風紀委員も若干居るんだけどー。だから、つーくんもおいでおいでって」
電話口のつーくんはしばらく悩んで溜息をついた。
そして、双子にではなく俺に声をかける。
「有村、そいつら頼む」
ああ、来る気ないんだなって、俺、少ししょんぼりしてる場合じゃない。
にっこお…と笑って、言ってやる。
「嫌だよーだから、さっさとこいや、寝汚ねぇ」
双子は俺の口調に不思議そうに、首を傾げた。
「…寝みぃんだよ…昨晩は盛り上がって」
ああ。って思ったときにはダメだった。
俺の声はいつもより5トーンは下がってた。
「こいっつってんだろが、クソが」
双子ちゃんたちが抱き合ってがたぶるし始めた。俺の周りだけ氷点下ってね。
クーラー要らずでいいじゃない。
「はいはい…相変わらず我儘な」
溜息ついて、こっちにくるといった元恋人。
ああ、やっぱ、俺のことわかってるなー、いい男だなぁと感心してる横で、双子の一人がポツリ。
「あ、そっか、付き合ってたんだ…」
まるでなかったことのように、自然と普通に戻ったからな。
あんなに騒がれて、あんなにいちゃいちゃしてみせたのに。
すでに時の人だな俺も、あの人も。

 

17歳、秋。
夏の気配のまま迎えた秋は、暖かいどころか暑い。
会長がうちのご主人様と同じ大学に行こうかなんて話になってて、なんだ、ラブラブじゃん。と日々、ご主人様ののろけを聞き逃している。
一日千秋の思いで、とはだれが言ったことだったか忘れたが、秋なんて、なんとも寂しく切ないものだ。そんなのが、一日で千だなんて、気が狂う。
他人の惚気なんてきいてると、特に思う。
どうして俺はあのとき別れるなんていっちゃったんだろうなぁとか。
俺のやるべきことってなんだっけ。とか。別れちゃったら、ちょっと俺のやるべきこと失敗するんじゃないの。とか。
しょうもない仕事なんだけど、まぁ、うちのマシーンみたいなご主人様が人間らしく恋だなんて。いいことだと思ったんだよ。そりゃあ、協力もしてやろうって。
一年間付き合いはしたものの、イマイチそういう感情とかわかなくて。
でも、俺の隣にあの人が居ないのは寂しいし、なんとなくさがしちゃうのも、もうやめてしまったけれど、切ないことで。
ご主人様の恋がうまくいった今、よりもどそうっていってもいいんじゃないかなぁとも思う。ご主人様も止めにくいだろ?今の状態じゃねぇ。
それでも、今は昔と違って俺が戻りにくい。今は距離を置かなければならない。近くにいるととばっちりを受ける可能性がある。
なにせ、俺のお仕事は、マシーンご主人様のことだけじゃない。
だいたい、夏にもプールで会ったけれど。
相変わらず傷だらけのあの人見て、あ、やっぱ会うんじゃなかったなぁ…なんて後悔して、マシーンご主人様が俺とあの人の逢瀬みて、しまったって顔したの見て、こっちこそしまった。って。
俺のご主人様は有名なヤクザのお家柄。その跡取りに付き従う俺は、やっぱりヤクザの息子。
さて、対しまして、知名度が高かったあの人…元風紀委員長高梨司(たかなしつかさ)。双子の従兄弟にして、双子の暫定従者。
狙われた双子をかばって傷だらけになる、これまたヤクザなお家の人。
元風紀委員長が代々ヤクザなおうちの人ってワケでもないんだけど。
かわいい双子はこれからも、ヤクザと関係ない暮らしをさせたいという父親の希望により、影で動く動く。ぶっちゃけ、恋人だった俺なんて放置する勢い。
正式にヤクザになったわけでもないけれど、一生その家に身をうずめていくんだって、解るような働きぶり。
俺も、そうだ。
一生、ご主人様の家に身をうずめるんだ。
別に、仲の悪いヤクザってワケでもないけど。
身を挺して…なんてことをさらっとやってしまう俺とこの人が一緒に居るのは悲しい思いをすることが増えるということで。
どっちかが急にいなくなったら、そら悲しい。
お互いのためにも、もう会わない方がイイヨというはなし。
どちらも、本気になる前に。
ずるずる付き合ってもよかったんだよ。むしろその方がよかった面も多分にあった。
でも、なんとなく、あ、ダメだこりゃって予感するものがあったから。
俺はこうしたわけで。
離れちゃうとすごく解る。
居ないとわかっていて探すし、声を聞きゃ嬉しいし。他の連中とヤッてたって知ると腹が冷えるし。
会いたいって思ったことに、あちゃぁ…って思ってしまうし。
そりゃあ、ご主人様もしまったーって顔をするよ。
その顔みて、俺もしまったーってなるよ。
あんな顔させたいわけじゃないんだ。
しまったって顔した俺をみて、苦笑して、極力俺に近づかないで居てくれる。
視界の端に、存在感。
安心感。
俺ってつくづく我儘。
秋になって、何を思ってるんだか、センチメンタル。

 

18歳、冬。
拳銃突きつけられて、俺、まだ未成年じゃん。18じゃん。
もっと楽しんでもいいのに、なんでお仕事してんだろう。
なんて思いながら、遠くを見る。
視界の端、もちろんあの人はいない。
誰も居ない。
ここ、学校ですらない。
誘拐されるのは計算済み。
なんせ、それが俺のお仕事だった。
俺の体の中の発信機は仕事してるかなぁ。なんて思いながら、拳銃眉間にゴリゴリされながら。
ズルズル廃工場の奥まで引っ張られて、なんでこういう展開なんだろうなぁと。
記憶を辿る。
俺のご主人様はヤクザのご子息。
ご主人様には一人、兄上がいた。
半分しか血の繋がらない兄上。
よくある話、愛人の子供。
同い年の兄上。立場的に弱いながら、ご主人様のご家族からよくよく愛された。
そんな兄上、複雑な立場ながらよく狙われた。
本人が複雑な環境に身を置いているってこともあったけれど。
そんな中、兄上ストーカーに狙われる。
ご主人様のお父上はそりゃあもう心配して。
俺は主人の父からも命令を受けて、その兄上に成り代わらせようとしたのだ。
背格好よく似てたから。あとは行動とか身に付けて、顔を変えればっていうね。
ご主人様はそれに反対で、どうにかこうにかしたがって、しょうもない命令したり、俺から弟君のふりをやめさせようと、のろけを多めにしてくれたり。
実にいい主人。
おかげで成り代わることはできなかった。
けれど、俺とて代案は立てられる。
そんで、俺は、決めていた。
そのために、大義名分振りかざして、後手後手に回って焦る主人を眺めつつ、一緒に居たのだ。
『おまえさえ、いなければ』と殴られながら、早くこいつ拳銃手離さないかな。なんて思う。
手から離れたすき、蹴り上げて、俺のほうこそ、『おまえさえいなければ』。
俺はたぶん、泣いていた。
なきながら、そいつを蹴り続けた。
動かなくなった頃、傍らに転がる拳銃を懐にいれ、立ち上がる。
電話をした。
久しぶりに、聞こえる声に、俺は無言で、しまったな。と思う。
「…間違えた」
電話口で仕方ねぇなって笑う。
俺の声はたぶん震えていただろう。何も聞かない。何も言わない。
いい男だなぁ…なんて思いながら、俺は間違えついでにポツリ。
「愛してる」
好きだなんて飛び越えちゃってさ。
電話口、間も空けず帰ってきた答えがいとおしい。
『俺も』
俺は電話を切って、組長に電話する。
「終わりましたんで迎えをお願いします」

 

16歳、冬。
俺は主人の兄に初めて声をかけた。
高梨司。
主人よりも大人に見える16歳は、たぶん俺より大人で、俺より静かで俺より格好よかった。
それは、早々と母というよりどころをなくしたということや、本家に引き取ることができなかったがために引き取られた分家で、双子を主人としたこともあったのかもしれない。
俺のことを知っていた。というのも大きかったのかもしれない。
俺が、司を知っていたように。
司は俺に何も聞かなかった。俺に何も言わなかった。
司はたぶん知っていた。俺が司の代わりになるために隣に居ること。
俺が司になれないで、結局ストーカーを煽るだけ煽って俺にその目を向けさせたこと。
しっていたと思う。
何も言わなかった。
俺がわがままにも全部全部俺のものにして、俺がどうにかしたかったことも汲んでくれて。
俺の思うようにしてくれた。
「敦哉(あつや)、転校までしなくてよかったんじゃないか」
大学も違うんだし。と、俺の主人は言った。
愛してるって言っちゃったしなーと、俺は頭をかく。
「何イッテンノ?仕事終わったのに、イツまでも居たら遺恨が残るだろうが」
俺、有村敦哉は、ヤクザの息子だ。
桐生家の分家筋で、義哉と正哉、双子の兄にあたり、主人の従兄弟でもある。
主人の兄である高梨司は俺の従兄弟であり、分家に引き取られたことから、俺の弟分とも言えるのかもしれない。
ただ、俺が分家から離れたのは中学の時分で、その中学のときに、司が家にきたらしい。
その頃には俺は本家に出入りする人間で、会う事なんてなかったのだ。
「兄貴がさすがに怒ってたんだが」
「知るかよ。もともと交わる必要がなかった俺とあいつが一緒にいたことがおかしかったんだ」
あのストーカーさえ居なければ。
俺はきっと、司を好きになることはなかったし、司も俺を好きになることはなかっただろう。
きっと、俺に言いたいことがたくさん合ったと思う。
きっと、俺に聞きたいこともたくさんあったんだ。
俺を知っていた司は、俺の好きにさせた。
たぶん双子あたりであろう。俺の性格を地味に教えてくれたのは。
「…しらねぇからな」
あの人、俺より執着がひどい。
主人に言われるまでもなくしっている俺は、ふふんとそれを鼻で笑った。

 

ある年の初春。
俺は高梨司に会う。
司は相変わらずいい男で、俺を見て、諦めたみたいに笑う。
「愛してるんじゃねぇのか?」
「愛してるけど、あわないほうが、お互いのためだろ」
なんて、ちょっと前まで当たり前にしていた口調で話す。
「そうだな。でも、夏に、あっちまってるし。今更だろ」
手に持ったマフラーを返しながら、首をかしげる。
「そうだっけ?」
マフラーを受け取ったくせに、やっぱり寒そうな俺にマフラーを結ぶ。
「本当に…おまえは」
結んだついでにキスをして、離れていく司の手は冷たい。
今日は、たぶん、待ってた。
思わずその手を掴んで俺が笑った。
「まいった、離したくないなぁ、この手」
「…俺も離したくないから、いいんじゃねぇの」
「そおかぁ?じゃあ、離さないでおこうかな」
司が泣いた。
理由は聞かないし、言わないでおこうとおもう。
「敦哉」
「ん」
「付き合おうか」
「了解」

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