書きなぐり ハスキーの捕まえ方 忍者ブログ

[575]  [574]  [573]  [572]  [571]  [570]  [569]  [568]  [567]  [566]  [563
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



こんな捕まえ方はしてはいけません。


ヘッド×ワンコ




本文は続きからどうぞ。










この気持ちはなんといったことだろう。
ぶんぶぶーん!ぶんぶぶーん!へいへーい。へいへーい!今日昨日と何やってんだ、ヴぁあかめえぇ!
だろか。
バイクは俺の思ったより煩い音をたて、走る。
あぁ、このまま海へと走り去り、消えてしまいたい。
そんな恥ずかしい思いをしながら、俺は堤防すら見ることもないまま帰宅する。
昨日のことだ。
溜り場でみかけた犬が可愛くて、ついつい構ってしまった。
可愛かったのだ。
噛み付かれても、邪険にされても、可愛かったのだ。
構って構って構い倒して、ふと気が付く。
これは嫌われるだけなのではないか。
犬はギラギラした目で俺を見て、ギラギラした目でにらみつける。
俺は反省した。
次に会ったら構わない。そう反省したはずだった。
次に会ったのは、今夜。
相変わらず、可愛い犬が、俺を睨み付けてくるものだから、反省したにもかかわらず、構って構って、構い過ぎて、犬がしっぽを巻いていた。もはや俺は犬の恐怖。
キューンキューンと小さくなる姿が可愛くて、思わず余計に構いすぎた。
これは完全にアウト。
そして俺は、バイクで帰宅だ。
可愛いなと思うと同時にやってしまった気持ちをどうすることもできず、色々本当に恥ずかしい気分でいっぱいだ。
『今日も村正やばかった!』
電話で親友が、明るく笑ってそんなことをいう。
逆に俺の気持ちは暗い。
「バァーカ。マジねぇわ。マジうんこ。もう藻屑となって消えたい」
『ネガティブゥー』
明日はこの過ちを繰り返さない。
目が合っては、あの犬を条件反射みたいに構ってしまう。目を合わせてはダメだ。
俺はそう決意して、翌日、犬とは目もあわせず。
ああ、良かった良かった今日はしてやったぞと自らを誉めた。



「ヘッド、今日なんかジョージさん、無視したぞ!」
「ぱねぇ!ジョージさん、マジ嫌われてんじゃん!」
「昨日とか、鼻で笑ってたもんなー!」
「ジョージさん、ヘッドのことマジリスペクトじゃん。マジつらぁ」
「ジョージさん、怪我治してヘッドに見捨てられないように役に立つって」
「マジやば!ジョージさんマジ努力の人!マジなんとかケラー!」





「あの犬さァ……」
「うん?」
「俺のにして、いいか?」
最初から、人間を犬って言ってる時点で、親友にどうこう言ったところで何になる。
「いいよ。誰もとって食ったりしてないし、しないだろうし、犬とか可愛いとかいって構いたおしちゃうの村正だけよ?」
ここ一番反省したって顔する親友は、犬を構って構って……恒常寺尋(こうじょうじじん)を殴って蹴って、毎日欝だ。
親友は恒常寺を見た瞬間に、表情が付いていかないくらい歓喜して、恒常寺をボコる。
あぁ、楽しそうだなーってニコニコできるのは俺くらいの凄惨な現場。
恒常寺は本当に親友のうでっぷしを尊敬しているし、サンドバックになることも、ありがとうございます!といいそうなくらい喜ぶ。
恒常寺はマゾじゃなかったのに、親友が手をあげるってだけで、本当に嬉しそう。
ギラギラした目でよく見てる。
それが、親友ときたら無表情だし、特別顔も整ってるほうだし、そんなで殴る蹴るだし、笑うのも押さえ気味に笑うもんだから、嫌がってるように見える。
その上、恒常寺も犬といったらハスキーみたいな顔してるから、見つめてきたら、不機嫌なようにしかみえない。
ハスキーとかモコモコしてるしそりこみみたいなのあるし可愛いじゃんとは思うけど、あれは犬にしてはいかつい方だと知り合いが言っていた。
ハスキーとかもこもこで二色で可愛いのに。そりこみみたいなのもただの柄だけど、目とかもうっすいいろで…たぶんそこがちょっと怖さ助長してるけど。
そんなわけで、恒常寺は誤解されがちな外見をしているわけだ。
おかげで尻尾をふってふってはちきれんばかりの人間のコミュニティに入りそびっているのだ。
ボス!ボス!と懐いて懐いて待てをしているのに、そんな、構い倒したら嫌われるじゃねぇかと視界にさえいれてもらえない。
かわいそかわいい。
そう、可愛いなんて思ってないといいながら、実はちょっと思ってる。
早く、親友がてなづけないかなと待っていた。
「でも、さすがになァ……可愛すぎてヤりたいっつったら、なァ?」
「さらっとやったら尊敬の念でどうにかはならないから、そこはベロッベロに可愛がって」
「目が合ったら殴っちまう」
「重傷だね。いっそのこと好きっていっちゃえば」
「それもありか……」
そして、早くグルーミングさせてください。あのぱさっぱさそうな髪は、愛犬家としてなんというか、非常につらい。





ヘッドに好きだといわれた。
好きってなんだと俺が首を捻る前に、ヤリコロされた。
いや、死んでない。だが、ある意味死んでる。
ヘッドはやることが極端だ。なんというか、やるか、やらないかだ。
俺を殴るときは、前触れなく、目が合った瞬間に殴る。
殴らないときは、目すらあわして貰えない。
まるで、俺にはそういう価値しかないと言われてるような気さえして、ヘッドを尊敬して止まない俺は、正直、辛かった。
それなのに、急に好きだといわれ、何のことか理解できないまま、溜り場奥の部屋までつれていかれ、ソファに転がされ、ヘッドに襲われた。
尊敬は恋情とは程遠い。程遠いはずなのに、何故か俺は、ああ、やっとこの人のものになれると抵抗もそこそこ、ただ、ヘッドに鳴かされる。
俺はヘッドのことをそういう意味で好きだったのだろうかと、混乱したまま、目が覚めた今日、腰がたたない。
「……」
何か言おうとしても喉がからからで、うまく息すらすえず、丸まって咳き込む。
喉が乾いているだけに何かがひっついているかのような違和感と、かさかさするような感触があるような気がするし、咳がとまらない。
不意に、誰かが背中をさすり、スポーツドリンクを渡してくれた。
咳が落ち着いたのを見計らってそれをのみ、スポーツドリンクくれたひとを見ると、それはヘッドだった。
驚いて見つめると相変わらず視線をこちらに向けずにヘッドが言う。
「悪かった」
何が、どれが、どうして。
意味が解らないまま、俺を見もしないで気まずそうにしているヘッドに、俺は言わなければと思った。
何を言わなければいけないか、混乱を極めていた俺にはあまりよく解っていなかったが、ようやくヘッドのものになったと思ったのに、このままではヘッドから手放されてしまう。
危機感が俺を襲い、焦りと混乱と絶望感に、言ったことはあまりにも情けなかった。
「捨てないでください」
本当にヘッドの所有物になったわけではない。確かめてないし、俺もそこのところどころか、昨夜の出来事すらよく解っていない。
けれど、捨てられると考えてしまえば、単純に悲しくて仕方ない。まだ、俺はヘッドにまともに見られてすらいないのだ。
「ハァ?」
俺を思わず見たヘッドは、怪訝な表情から、すぐにニヤリとした、背筋が凍る表情にかわった。
「俺のもんなら手放さねぇよ」
俺の髪の毛掴んでひっぱりあげるヘッドは、いつもとかわらないのになんだか楽しそうだ。
「今日はサボれ」
そういうと、昨夜さんざん俺を鳴かせたというのに、一眠りしたら回復したといわんばかりに晩までねっとり声が枯れても鳴かされた。
ああ、俺はヘッドのものならそれでいいんだな。
恋情と尊敬は、違うものだ。
しかしながら、俺がヘッドに所有されることは、恋情とはまた一味違う気がしなくもない。






PR
<< 主人は僕に頭が上がらない HOME ドーベルマンとハスキー >>
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
リンク
カテゴリー
フリーエリア
最新CM
最新記事
最新TB
プロフィール
HN:
鶴義 亀吉
性別:
非公開
バーコード
RSS
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
P R
Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]