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わんこを愛でるだけの話です。
ヘッド×ワンコ
なんだけれど、ヘッドがでてこない。
本文は続きからどうぞ。
ヘッド×ワンコ
なんだけれど、ヘッドがでてこない。
本文は続きからどうぞ。
「あんたがポチ?」
ポチというと、雑種の色の薄い中型犬を思い起こす。赤い屋根の小さな小屋に、プラスチックの餌入れが似合う、そんな犬を思い起こす。
だが、俺の目の前にいるポチはいやにいかつく、犬にたとえるならば、血統書つきの、シベリアンハスキーを思い起こさせる。
伊勢さんは、モコモコのハウントだよ、かわいいよというが、俺にはまったく理解できない。
「俺は檜垣紀沙(ひがききさ)。あんたを迎えに来た」
コンビニを出てすぐのごみ箱に、いらないものを捨ててどこかに行こうとしていたハスキーは、少しだけ首を捻った。
シベリアンハスキーといえば、ピンとした耳にあの独特の模様、少しきつめにみえる目付きなんかのせいで、とっつきにくそうな印象を与えるが、実に人懐っこい性質で、ひとに友好的な犬種らしい。
その例に漏れず、このハスキーも無駄吠えはしないようだ。
「金向村正(かなむむらまさ)に頼まれた」
首を捻ったハスキーは、その尻尾を一瞬揺らす。
「俺と一緒に、修学旅行に来てくれ」
少しの沈黙。
ハスキーはその目をゆっくりとそらし、ぴんとたった耳をゆっくりと動かした。
俺でも解る。
しょんぼりしている。
目や耳だけではない。
尻尾まで萎れて、全体的に悲しみを体現している。
そこまでしょんぼりされてしまうと、飼い主でもなければ、友達でもなく、まして愛犬家でもない俺でも、ついつい慰めてしまう。
「マサ兄が、びっくりするような土産かってやろう?な?」
「……おう」
しょんぼりしながらも頷いたハスキーに、俺は少し伊勢さんのいうことが解った気がした。
残念ながら、ポチは恒常寺尋(こうじょうじじん)という名の人間の男で、モコモコもしていなければ、尻尾もないし、ぴんと尖った耳でもない。まるで大きな犬のようだが、そうではないのだ。
しかし、恒常寺は確かに犬のようだった。
ポチについてはマサ兄のセンスが悪いのだろう。
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