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色々つづきをやらなきゃなぁとおもいつつ。
本文はつづきからどうぞ。
「シギはさ、なんでこの学園きたの?」
能力を持っているからといって、必ずしもこの学園に入らなければならないというわけではない。
学園側に入学を強いられる人間もいるが、ほとんどは試験を受けて入学する。
シギはもともと化け物どもとは何ら関係ない場所にいた人だし、特殊な能力を不運にも手に入れてしまったからといって学園に強制的に召集されるほどではない。
突き放すようだが、シギのような、見るだけの珍しい能力をもち、化け物に好かれる体質を持つ人間は、どうしたって淘汰されていなくなるものだ。
誰かが発見して守ってくれただけでもマシであるのに、こうして話して、意志疎通ができ、さらに化け物を退治する力を持つのは稀である。
「……ヤケクソ?」
虚空を睨みつけたあと、険しい表情のまま首を傾げる様子は、見ている俺だけでなく本人も、その回答に納得できないように見えた。
「ヤケクソでくるとこじゃないよ。見えすぎて疲れるし、化け物寄せては命の危機だし」
「ああ、まぁ……。だがな、見えるようになって、お守りとやらに守られて思った訳だ。なんでこんな目にあってんだとか、性にあわねぇとか、守られたところでこんなもん、確かじゃねぇよとか」
自分自身の持っているものだって確かではないが、お守りが役に立たなくなるのをふるえて待つのは性にあわない上に、ばからしいそうだ。
「シギはなんというか、かっこいいねぇ」
「かっこいいんじゃねぇよ。こういうのはバカっつうんだ」
確かにその通りだ。
俺は深く関わることを避けるため、ここで問答をやめたが、シギが自分自身を自分自身で守るということにおいて、本当はこの学園に来る必要がなかった。
なぜなら、この学園に入るにはある程度の実力か、今すぐ使える能力がなくてはならない。
俺は理事長候補というやっかいな立場だから知らされているのだが、シギの場合はある程度の実力を付け、編入してきている。それに、俺が実際みた範囲では、この学園に入らなくても生きていけるだろう実力もあった。
この学園ではさらなる高みを目指すということもできなくはないが、それはこの学園の外でしたほうが手っとり早い。
この学園がある理由は他にあるが、つてや友達を得るために生徒たちはここにいる。
「俺はこの学園、来て良かったって思えないからなぁ。だってすっごい働かされるじゃん」
「俺もまだ思えねぇなぁ……けど、思えるようになったら、勝ちなんじゃねぇか」
学校というもの通うことに、勝敗はない。
しかし、シギはそういって笑った。
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