ついてはそろそろいいだろうか
の、小話。

会長がぐいぐい来るから、振り回されがち。

ヤンキー×会長

本文は続きからどうぞ。

生徒会長、成瀬朗司の場合。


やだー会長様とつりあわないっやめてー会長様をたぶからさないで！
散々な言われようだった。
本人を前にしても言い続けるのは、むしろ天晴れといってやってもいい。
しかし、言ってやりたいことの一つや二つあるのは仕方ない。
「アァ？俺が顔で恋人選ぶってか」

「なぁ、成瀬、ちょっといいか」
「おう」
「生徒会長の恋人はあれでいてやさしくて、会長のピンチにすぐ駆け付ける、成績優秀、運動神経抜群で、ちょっとわるだけどいい人でっつう話を聞いたんだが」
「ハァ？あいつらわかってねぇな。磐城の良さは、中学生にして責任と覚悟なんつう言葉をだしてくるあたりにあるわけで、やさしいとかわるとか頭のよしあしじゃねぇ」
「泣いていいか」
「慰めてやるからいいぞ」
「成瀬、二年の間になにがあったんだ……」




顔の怖すぎるヤンキー、磐城幸遊の場合


あれが会長様の……ええ、あれが……？やだ、こわい……。でも、会長様のことは遊びだとか……。
顔が怖いといわれるのは、悲しいかな、慣れてしまった。
しかし、この顔と俺のふてぶてしさからくる噂だと解っていても俺は言わざるをえない。
「ざっけんな。遊びで三年近く想いつづけるか！」

「……いやにご機嫌だな……」
「三年」
「……」
「俺と会えなくなって二年だが、一年余るよなぁ？」
「今日は引き算が閉店してやがんだ」
「ふうん？で、俺と会ってからは三年たつよなぁ……？」
「……、悪いか？」
「いや？ぜんぜん」




生徒会長成瀬朗司の愛について


俺は気が付いてしまった。
二年もお預けを食らっている状況ではないかと。
そう、気が付いてしまった。
「磐城」
「おい、出会い頭にセクハラやめろ」
「若い野郎が二人揃ってナニもないのはどうなんだ」
「普通は若い野郎が二人揃ってナンかあったらダメだろうが」
「二人は恋人だ。ナニかあってもいいだろう？」
「だから、セクハラすんなってベルトに手をだすな！マジ、二年でなにあったんだよ、おまえは！」
「今は二年間のナニかより、ナニしたい」




会長に弱いヤンキー、磐城幸遊の恋について。


そう思えば、最初から成瀬は耐えるということを知らない男だった。
三年前、嫌悪感あらわに殴りかかってきて、何をまかり間違ったか、ヤリ友になってしまい、挙げ句恋人だ。
俺の恋心は常に、五、六歩以上置いていかれてしまう。
「磐城、おまえ、本当、体の相性いいよな」
「いいよなじゃねぇよ……なんで目覚めたらのられてんだよ。俺、ピンチか？」
「大丈夫だ、騎乗位だ」
「ああ……ある意味ピンチだった……」
「下半身男といわれた俺を満足させるには」
「ちょっと待て、その下半身男について問いただしたい」
「大丈夫。穴はおまえだけ」
「不安がよぎる答えだな……」




生徒会長成瀬朗司の喧嘩


頬が痛い、身体があちこち痛い。腹に青あざとか冗談きつい。
俺はギクシャクと歩く。
「ああ……やっぱ磐城つええんだ……」
「いや、喧嘩したって落ち込むとこだよ、ろー、それね」
「かっけぇよな……」
「いや、だからね」
「あー……やりてぇ」
「それで喧嘩したんでしょ！」




会長の進撃に好きだけど、ちょっと待てよ？なヤンキー、磐城幸遊の謝罪


目が覚めると隣に体温を感じた。
いつのまにかまた、布団に潜り込んできたらしい。
不法侵入甚だしいのだが、ヤルのやらないのとくだらない喧嘩をしたあとであったから、なんだかばつが悪いし、怒る気になれない。
「……ごめんな」
「なんにたいしてだ」
「顔殴って」
「アン？」
「散々責められまわったんだわ、暴力だけでもクソなのに顔はダメだと」
「つっても俺も、腹と足と顔にたたき込んだよな？」
「俺のあざはよく似合ってるって好評で」
「おい！どこのどいつだ！俺の幸遊狙ってる奴は」
「今、さらりと、幸遊っつったな」