書きなぐり 昔の。2 忍者ブログ

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実はさ……これ、まだつづきあるんだぜ。

ってことで、ポイ。
大学終わる一年前というと、なんねん…怖いわ。数えてはいけない。

最初に、お姫様がうっかり封印をといちゃって、いけめん三人と旅してモンスターどもを封印だぜ!って話を作ってて、そのいけめんが、全員人の姿になってるだけで。
という話で、お姫様は竜とくっつく予定でした。
好きなものって変わらない。

そして、そのイケ面三人は、竜、狼、鳥だったので、狼と鳥がなんか妖しい感じで。
その狼を主人公にもってきて、こうなったんです。
いや、これ、狼主人公かなぁ?

今書いても別物にしかならないので、続きはきっとかけない。

掛け算的には
鳥×狼

実はこれもこれで終わりじゃない。


本文はつづきからどうぞ。








熱い日差しを本格的に受ける前に辿り着いたそこは、なんとも頼りない小さなオアシスだった。
小さく木陰を作る木や、もう、いつ枯れてもおかしくないような水。
彼は緑が死に逝く気配を感じた。
「水はおまえが先に飲むといい。私は後でいいから」
そう言うと人間は、さして広くはないオアシスの中を歩きだした。
彼には人間の事情など関係ない。しかし、人間に興味を持っているのも確かだ。目に映る水を一口、二口飲むと、彼は気配を殺し、人間についていくことにした。
人間は、辺りを見渡しながらオアシスを歩く。
彼は人間についていきながら、人間と同じように辺りを見渡した。死に逝くオアシスは、少しずつ枯れながらも生きようとする意志が感じられる。
彼はそれを痛ましいとも、悲しいとも思わなかった。最後の最後まで戦う意志は、彼にはとても心地好い。
人間はオアシスを歩きながら、目につく枯れた木や草に触る。調査をしているようであり、労っているようだった。
大きな枯れかけの椰子の木が現れたところで、人間が彼の方を振り返った。
彼は当然のように身を隠したが、人間も当然のように言葉を彼にかける。
「困った奴だな。ちゃんと休んでおけばいいのに。気になるなら、此処においで」
人間の言葉に同意し、彼は姿を表し、人間から少し離れた後ろまで歩いた。
きっと、この人間は何もしない。
出会って数日しか経過しておらず、未だに不振な人間ではあるが、今まで見た人間の様子や、特に昨晩の人間の独り言に近い会話が彼にそう思わせる。
彼はもともと疑り深い性質であったし、人間に捕まえられ不本意ながら此処にきた。そんな状態で、人間を信用しようとは思えない。それでも、この人間には、彼の性質を曲げる何かがあった。
彼はそれを直感のようなもので捕らえる。
全面的に信用する必要はない。ただ、今、少しの間、確信できればいい。
枯れかけの椰子の木を前に、彼は思った。
彼の思ったことを知ってか知らずか、人間は彼に話し掛ける。
「解るだろう?この木は、もう、ダメだ」
人間の言う通り、木からは色濃く枯れる気配を感じた。
「このオアシスも、この木が枯れれば枯れる」
木を寂しそうに眺め、先と同様に労るように撫でる。人間は、椰子の木を愛おしげに見つめた。そして、自然の摂理だと言わんばかりに、オアシスの末路を言葉にした。
このオアシスは生きようとしている。木が一本枯れたくらいで死んでしまうものではないだろう。彼は人間に言わないまでも思っていた。
「おまえは緑と生きるものだ。私の気配から緑を感じるのだろう?」
人間の話は突然、彼を人間が不信にさせる点をついた。彼が一番知りたい、この人間への疑問でもある。
「私が、こうやっておまえに話すのは、死に逝く仲間を前に寂しくなったと同時に、おまえを扱いかねていると思ってくれて構わない」
人間はいつものように、独り言のように話した。
彼は静かに、それを聞く。
人間はヴェスタという名だと言った。これは本当の名前ではないとも言った。本当の名前は捕らえられて、とうの昔に忘れてしまったという。
ヴェスタという人間は、本当の名を捕らえられた時に、自分自身の持っていたものを失った。地位も、自由も、失った。自分自身の姿でさえも、かえられてしまった。
ヴェスタは自由に空を飛び緑を守り緑と生きる民を守る、大鳥だった。そう、人間などではなかったのだ。
ヴェスタが、ほとんどを失ってまで人間の姿になったのは、ひとえに一族のためだった。
ヴェスタの一族は緑を守るといわれる特性と、緑に還るといわれる特性があった。一方の特性は緑を育て緑を維持するもので、もう一方はその亡骸が土に還るとき、一本の木となり、その地に緑を与えるというものだ。
人間達は緑に還る特性を利用したいがために、ヴェスタの一族を乱獲した。
一族は、けして強くはなかった。故に、狩られ、減っていく一方だった。
ヴェスタは、それに終止符を打つべく、人間と契約をした。
『この地に長き間に渡り緑を与える礎となる』
そうして、ヴェスタはこの枯れた砂漠に縛られ、人間の勝手で姿まで奪われた。
ヴェスタは三百年生きた。三百年起った今、緑は増えるどころか、減っている。もう、ずいぶん昔にヴェスタの一族の鳥達も、緑…オアシスへと姿を変えてしまった。そのオアシスを増やすことも維持することもできないヴェスタなど、人間にとって、『礎として役に立たない』ものでしかない。すべてが枯れる前に礎を変え、不要になったヴェスタのその特性を利用し、再び緑を得る。そう考えた人間達が動いて、彼をこの地へ連れてこられた。
つまり、彼をヴェスタの代わりにしようというのだ。
人間達の身勝手さに、彼は唸った。お構いなしにヴェスタは続ける。
「私に緑の気配を感じるのは、私が緑を与え、守るものだから。人間と契約してしまったからには私は私の務めを全うするだけ。私には守るべきもが少ない。飛び方も忘れてしまった。だから、もう、人間のやることに口を出す気もない。ただ、おまえはそうはいかない。おまえは緑を自由に走る四肢を持っている。走り方も知っている。おまえには、きっとそれが似合う。だから、どうにかしてやりたいと思っているのだけど」
どうだろう?と言うように、ヴェスタは首を傾げ彼を見た。
どうにかしてくれるのなら、してもらいたいのは確かだ。けれど、そうすれば、ヴェスタという大鳥は一体どうなるのだ。彼は怒りの中、冷静に考えようとしていた。
枯れかけたオアシスは、ヴェスタの一族に違いない。
寂しそうに、でも愛しそうに見える姿が、それを確信させた。じわじわと死んでいく仲間を、どんな思いで支えているか、どんな思いで見つめているかなど想像に耐えない。
それなのに、また人間の身勝手で命まで奪われようとしている。
「オマエはホントウにソレでいいのカ」
彼は初めて、ヴェスタに応えた。
ヴェスタは彼が人の言葉を繰ることに驚かなかった。少しだけ、返ってきた反応に嬉しそうな表情を浮かべただけだ。
「私はもう充分生きた。仲間を支えるだけ支えたら、地に還るのは自然なこと。それに長い間、人間といすぎた。見捨てることもできない」
彼は、そんなことを言うヴェスタにも怒りを向けた。だから、彼自身がしたいようにすることを選んだ。
「ナラバ、カエる」
「それでは全力を尽くそう」
それでもヴェスタの手は優しかった。



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