×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
風紀委員長が受の話。
魔法使いにならなくていいから俺のものになってくれ。
とかそういうような
雰囲気。
あくまで雰囲気。
本文は続きからどうぞ
俺はその日、魔法を使わない蛮族とやらの世界の、やたら煩く、騒がしい場所で、宇井晴夜…こちらではハルヤ・ウィーズという名の庶民出の混血児に会った。
クラブと呼ばれる薄暗く、音楽と人の多さと、情報が込みあったそこでもハルは目立った。
その頃のハルはグレている真っ最中で、髪はもともとのオレンジのような金と、赤のツートン。服装もそれに合わせてパンクなものだった。
顔は男らしく、何か失敗したのか口の端に作ったあざがいたそうな様子で、体だっていい体をしていた。
それにもかかわらず、俺は、一目見て、女らしさの欠けらもない男に惚れた。
声をかけるのに二週間もかかった。
ハルがいるというだけで、煩いクラブのフロアの片隅に座っているのも平気であったし、よってくる女も放置した。適当に相手をすれば、あちらも俺をはべらせられれば満足なのだから、それでよかったようだ。
俺は適当に女や野郎の相手をしながら、常にハルを見ていた。
ハルはいつも、俺には顔も覚えられない友人とつるんでいて楽しそうであり、いつでも無駄に格好よく見えた。惚れた欲目だ。
14日の間に、ハルの着ている服のブランドや、ハルの名前、ハルの噂を仕入れたり調べたりもした。
完璧に恋だった。
なんとか声をかけた。声をかけるにしても、何もドリンクを引っ掛けるという昔ながらの手法でなくてもよかっただろうに、俺には何も浮かばないほど、二週間ほどでハルのことしか考えなくなっていた。
ハルはグレてはいたが、別に喧嘩を売って楽しむタイプではなかったし、そういったナンパにも慣れていたらしい。
ただ、俺のような生粋の魔法使いに、このようなベタなナンパをされたのは初めてで、興味を持ってくれたみたいだった。俺はハルを魔法使いだと気が付けないほど緊張し、ハルしか見ていなかったのだから、本当に何がどうしてそんなに引き寄せられたのかわからない。
しかし、一目見たその日からただひたすら、ハルだった。
今にして思うと、ハルの魔力に惹かれていただけだったのだろう。
魔力に属性を付けるのは、魔法を使う本人なのだが、人と人とに相性があるように、使い勝手がよいと感じる属性というものがあるのだ。得意教科のようなものといってもいい。
俺は水、風、光といった属性が扱いやすいため、火、土、音の属性を得意とするハルとはほぼ対極にいたはずだ。
近しいものは確かに、仲良くなれるが、対極をなす属は対立することも多々あるが、ないものだけにひかれる部分もある。
ハルがこれで闇を得意としたのなら、ひかれはしなかったが、音を得意としたために、少々つなぎがよかったのだろう。
そして属もそうなのだが、個々、魔力というものは違うもので、その魔力自体の雰囲気というのだろうか。あれらにも相性のようなものがあり…簡単にいうと、ハルの魔力が俺に大変魅力的に感知されたのだ。
それを俺が一目惚れと捕らえてしまったがために、ハルが魔法を使える人間であるということにさえ、気が付かなかった。今となってはどうでもいい話である。
PR