書きなぐり 風紀なファンタジー 忍者ブログ

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主人公は風紀委員会じゃないんですけどね。

ボチボチ続き書いて調子乗っちゃった話。

ファンタジーかくと恋愛はやはりおいてきてしまう…

本文はつづきからどうぞ




恋人が満足するまでベッドで遊び耽り、寮に朝帰りする。
木造の今にも何か出そうな洋館は、大切に使われているが軋みはひどい。
一歩一歩、足を踏みだすごとに音をならす。
「朝帰りたぁ、偉いごみぶんだなァ?転校生」
偉そうな態度で階段に座って俺を見下げているのは、ラディオラ・グレン・グラームという名の風紀委員長だ。
この洋館の主といわれるそいつと、俺は今、同じ屋根の下に暮らしている。
普通ならば、同室者といわれて然るべきなのだが、ラディオラ…ラジがこの旧寮に住み着いてしまったがために、同じ屋根の下で暮らすにいたっている。
旧寮は充分人が住める設備を持っているが、新寮が建てられた際、他の用途で使われるはずだった。
しかし、ラジが横暴さを発揮し占拠してしまったため、旧寮はラジの城と化した。
生徒達はラジ以外全員新寮にいるため、ラジはこの広い寮に一人暮らしとなった。
そこで、転校してきて部屋のない俺が一室かしてもらうこととなったのだ。
本来ならば部屋は新寮の特殊な魔法により増設されるはずだったのだが、俺がテストで落第点をとったため、こうなっている。
落第点といっても、竜を狩るはずが、竜を手懐けてしまったというので、点がつかなかっただけなのだが。
手懐けたというのは大げさで、竜はたまに遊びにくるが、今はもとのすみかにいる。
そんなわけだから、俺は同室者の許可を貰い、あまりに余っている部屋を一人で使っている。
「レイは元気だったし、最後は機嫌よく手を振ってくれたが」
あれは機嫌がいいというより、夢心地から覚めていなかったのだが、あえて言う必要はない。
「……レイ様に会いにいって不機嫌にしたとありゃあ…死ぬぞ」
俺が殺さずとも。
ラジが立ち上がった。
「だいたいなァ…てめぇじゃなけりゃ、レイ様だって、もっとこう…」
ラジは、レイの従者になるべく育てられた人間だ。
ラジはレイと同じ学校に通い、レイに尽くしていたかったのだが、レイにしてみれば息苦しい話であったらしい。ラジに武道を極めるように命令した。
これによりラジは、レイに多大な憧れと尊敬を抱いたまま、この学園に入ることとなった。
風紀委員長になったのも、レイに憧れているからに相違ない。
「じゃあ、誰ならいいんだ?」
ぶつくさ言うラジに俺が適当に尋ねると、ラジが渋い顔をした。
「てめぇだから、許してやったんだよ。そうじゃなけりゃ、レイ様が何いったって抹消してやった」
本当に抹消などできないだろうが、少なくともレイに近づくこともできなくなっていたに違いない。
献身的すぎる従者は、ひどくやっかいでねじれた性格をしていた。
ある意味真っすぐなのだが、どちらにせよ、人に厄介と言わしめる性格である。
「つうかよォ…マジで明日から補習参加なのかよ、てめぇ」
「間違いない」
「ざけんな?レイ様が選んだ人間が補習だとか…」
ラジの文句だか説教だかは昼過ぎまで続いた。
レイ以外をまるで人扱いしないラジにしてはまともな対応なのだが、さすがの俺もうんざりだった。



補習内容は、武術に関するものが潤沢に揃っており、魔法はおまけ程度に補習がある。
補習を強制的に受けるような成績の人間は、こぞって魔法以外の補習に参加している。
俺はなぜか、魔法も武術も、一日にいれられるだけいれて補習漬けにされる予定で、今日は授業の履修バランスをみるため、色々やらされていた。
「ウィーくんは、魔法補習いらないんじゃないかなぁ…」
魔法の補習を受け持つ、魔導師のイール・リル・フラウ先生が、俺に一通り魔法を使わせて首を傾げた。
「確かにいらないと思うですよ。最後の魔法なんて普通、武術学校の生徒は使えないですよ」
同じように魔法の補習担当の魔法剣士であるファルム・ディダ・ローディス・ガル先生が頷いた。
「なんで武術がっこにいるかまったくわからない」
「まったくですよ。軽く七不思議になれるですよ」
「俺も知りませんよそんなことは」
会う教師会う教師、全員がそれを言うのだから、にらみつけるのも面倒になってきた。
これが魔法を使う教師だけでなく、武術担当の教師にも言われるので、本当に飽き飽きとした気分だ。
午前中に一通りオーソドックスな武器を触らせてもらい、器用だねぇ、オールラウダーにならないかい?と誘われつつ、効果的に魔法を使うとかで、魔法も使ったおかげで頻りに首を傾げられたりもした。
午前中に俺の補習方針は、基礎を中心に万遍無く武器を使わせ、足りない部分は魔法を駆使するという方向になり、午後になって魔法がどれくらい使えるか試してみた結果、魔法は午後に一授業という形になった。
「何だか君の名をとどろかせて自分の名を広めてみたくなったですよ」
「僕はウィーくんを魔法大学にぶちこみたい」
「大学は…確かに魔法大学受ける予定っしたけど」
「受験生だし勉強してたですか?」
確かに魔法の勉強はしていた。
俺は頷く。
しかし、魔法大学は一般の高校から受験するには些か高望みといえた。
招致されるものが殆どで、その招致すら、高校時分にだいたいがどこかの魔法学校にされているはずだ。
魔法学校から魔法大学に行くのももちろん簡単ではないのだが、一般の高校からいくよりは容易い。
もとより魔法大学は魔法を学ぶのではなく、研究することを旨としている。
殆どの魔法使いが、一般の大学に行かないかぎりは就職を選ぶのだ。
故に魔法学校に選ばれもしなかった人間が魔法大学にいくのは、望み薄どころか何か諸事情があり高校に行けなかった天才か突如才能を開花させた人間くらいしかないと言われている。
つまり、天才でなければ魔法大学などとおこがましいみたいな風潮があるわけだ。
「君も無謀なことするですねぇ。9割8分は幼い頃に選ばれてるとかいわれてるですよ」
「そうだねぇ…本物は幼等部からの英才教育を受けられる立場だそうだし」
そう、本物は幼稚園に通うような年齢になる頃に魔法学校に呼ばれる。
レイなんかはこのタイプで魔法大学にもすでにお呼ばれしている。
あとは、魔法学校を受験させる。
うちの両親…とりわけ母はロマンチスト思考であるため呼ばれるまでほうっておいたため、受験の受の字もでなかった。
そういった理由から、俺も勉強はしていたものの、記念受験に近い気分だった。
「でもさぁ…もしかしたらもしかしてたかもよ?だって、本当におかしいんだよ」
もう既に何がおかしいかを言及する気にもなれない俺は軽く首を振るだけだ。
魔法大学を受験しようとしていた理由も、いくら諦めたと言っていても残っている悔しさを八つ当り気味に発散するためだった。
別に研究をしたいわけではない。
この研究をしたいわけではない人間も多く魔法大学を受験する。
点数制の検定試験のようなもので、この試験でどれほどの点数をとったかということが、これからの魔法使い人生には関わってくるらしい。
実力を見るなら実技試験点数。頭脳を見るなら筆記試験点数をみればいいのだから。
「手元で育てるのが、僕らとしては名誉なんだろうけど、いいところに送り出すのが教師としての最良かなぁ」
「そうですね」
なんてぶつぶついってた先生方がまさか、魔法学校に問い合わせてくれるだなんて思いもしなかった。



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