書きなぐり mine3 忍者ブログ

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こちらももともと拍手にあったものです。
シオウはおそらく、苦労性に育つんでしょうね……
ラグとロノに遊ばれ続け。

本文はつづきからどうぞ








この小さな赤毛の騎士は、いつも開けてはならない扉を開けてくれる。
「もし、過去に行けるとしたら、何をしたいですか?」
大陸の角に位置しながら、魔の国と呼ばれるレスターニャでも、時は未だ魔法の支配下にない。
だからこそのもしもなのだろうが、大抵こういったもしもは後悔を改めるという答えになる。三十あまり生きている人間に、一度とて後悔がないのは奇跡に等しい。俺とて後悔が幾つもある。
「そうだな。学生時代に戻って、遊びたいな」
可もなく不可もない答えを返し、本当にできるものならやってみたい事を数えた。もう一度やりたいこと、やっていなかったことが頭の中で巡り巡るが、やはり後悔が残る。
ロノだ。
相変わらず、弟子と恋人の話を聞いているだけで、なに食わぬ顔をして武器の手入れをしている。
もしも、過去に行けるとしたら何をしたいかだなんて馬鹿馬鹿しいと言いそうなくらいだ。
「楽しそうですね!」
学生時代は、確かに遊んでいたし、楽しかった。だが、それは最初の一瞬のことで、あとは退屈を紛らわせるために弄んだだけだ。
「ああ、ロノもフォーもいて退屈しなかった」
「フォグス様もいらしたんですね!……先生は意外ですけど」
ロノがいたのは半年ほどで、いた時は、楽しかった。けれどそれは、ロノが命をかけていた半年であり、それがなければ二度と会うこともなかっただろうに、悔やまれてならない事柄の一つでもある。
ロノは護衛だといって、俺の身代わりになったのだ。
護衛になるきっかけは、ロノが呪われたことにある。その時、ロノを呪った呪術師を殺しておけば、ロノは呪い避けにもならず、俺の護衛官にもならなかったはずだ。
いや、それ以前、俺がぼんやりとしていなければ問題なかった。
そうすれば、ロノは何度も死にかかったりしなかったはずである。
それと同時に、俺を好きになることも、俺が好きになることもなかった。二人は出会うこともなく、互いに交わることのない人生を送るだろう。
出会わなければ良かった。出会わなければ、好きになることはない。こうした後悔を抱くこともなければ、出会わないという選択肢に寂しさなど感じなかった。
後悔は幾度もするものだ。違う事柄も、同じ事柄も、嫌と言っても、反復する。
「シオウ、それは俺にはしない質問か?」
「あんたは俺が誰に聞いてもいつもつまんなそうにしてるじゃないですか」
「そうだったか」
先ほどまでくだらない質問だと言わんばかりの態度をとっていた男のいうことではない。
手入れの終わった武器を壁に立てかけ、肩を下ろす。ロノは机に視線を向け、過去のことになってしまっている茶器を指した。
「そんなに話していたら喉もお渇きなのでは?」
「あ。お茶いれてきます!」
小さな騎士は真っ直ぐだ。ロノに追い払われたことにも気付かず、茶器をのせた盆を持って炊事場へと行ってしまった。
「何か思いつめてますか」
「後悔してんだよ、お前とここにいること」
後悔するのは当たり前で、出会ってしまったからには、ロノを好きでいるしかない。たとえロノと出会わずとも、俺は他の後悔を抱えるかもしれないし、ロノより愛する人間ができていたかもしれない。
もしもの話は、あくまでもしもだ。
こうして見える景色は変わらない。
「現状には満足してませんけどね。でも、俺はあなたといるの、好きですよ」
もう一度、やり直せるならけしてロノを巻き込まない人生をおくるだろう。しかし、俺もロノといるのは好きだ。
「そうか」



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