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北の塔長は、仮で、実は、塔長じゃなかった。
という話。
そのため、どうしても塔長を押し付けたい回りの人々。
本文はつづきからどうぞ
今期の東の塔の長、会長の守護は必要ないといわれている。
東の塔の人間は主に魔道に優れており、その魔道を嗜む人間の中でも塔長はカリスマ性を備えた一番の魔法使いだ。いつもならば、その塔長は武術を心得ていない。だが、今期は文武両道で、風紀委員長と並び立つ武術を使う。
そのため、主に学園の人間を守ることが仕事である北の塔の人間が、会長を守る必要はない。
それでも慣習に従い会長を守るため、守護についた北の塔の人間は、ほんの一ヶ月ほどで八人。
北の塔の長はこれも慣習として、東の塔の長を守ることになっている。しかし、一週間もしないうちに三人も変わってしまっては、一時的とはいえ長にすえるのはよくないだろうと北の塔では判断された。
故に、八人目である俺は塔長ではなく、会長を一時的に守護をするという、繋ぎであったはずだ。
それが、一年続き、二年続き、三年目、ついに北の塔の二番目と言われる男に言われてしまった。
「そろそろ観念して北の塔長になってもらおうか」
「冗談だろ。俺は一番強いってわけじゃねぇからほら」
慣習では、北の塔の長は会長を守護することになっているが、その上で北の塔で一番強い人間が塔の長になることになっている。
つまり、北の塔で一番強い人間が、東の塔の長を守っていたのだが、今回の東の塔長はいつもと違ったのだ。
守ってもらわなくてもいいということもあったのだが、特殊技能を持っていたということもある。
会長であるシグレ・ウィンザーリヒは、家柄からして特別だ。
ウィンザーリヒ家は代々、声の魔法を使う。一族の固有魔法といってもいい。
一声だけで人を魅了し、操るといわれる魔法使いだ。
会長の声に抵抗できる人間でなければ、守護など務めることが出来ない。だから、塔の一番強い人間が会長の守護につくことが出来なかった。
会長の声に抵抗できる人間でなければ、守護など務めることが出来ない。だから、塔の一番強い人間が会長の守護につくことが出来なかった。
「だが、お前が弱いというわけでもない。そのうえ、会長の守護についてから、実力試すようなことはしてないだろ。だいたい、他の連中は皆、お前が塔長だと思っているし」
そう、二番目、ラズドが言うとおり、この学園の連中は皆思っていることだ。
「慣習だからな、そう思っているだけだろ」
「そう、慣習だから、お前がなるべきなんだ」
「いや、だから。一番強いわけでも……」
一番強いということにこだわっている風に言ってはいるが、本当のところ、塔長という身分が面倒なだけだ。
北の塔は守護を司るが、その中の人間の大半は守護をすること以外に時間を割くことを厭う。
一部の守護に興味はないが、適正やその他諸々の事情で北の塔にいる人間も、北の塔の仕事や管理をしたいと思うことはそうない。
俺もその一部の一人で、自分自身の能力の適正から守護を司る塔に所属させられただけで、塔の管理をしたいなどと思わないし、塔の人間を率いていきたいとかまったく思わなかった。
「じゃあ、明日、試合するから、お前、参加しろよ。逃げられ続けたが、もう逃がさないからな。強制だからな。会長にはもう伝えてあるから逃げられないと思え」
そうして俺は、友人に強制され、八百長の塔長という不名誉な称号を得ることとなった。
北の塔は守護を司るが、その中の人間の大半は守護をすること以外に時間を割くことを厭う。
一部の守護に興味はないが、適正やその他諸々の事情で北の塔にいる人間も、北の塔の仕事や管理をしたいと思うことはそうない。
俺もその一部の一人で、自分自身の能力の適正から守護を司る塔に所属させられただけで、塔の管理をしたいなどと思わないし、塔の人間を率いていきたいとかまったく思わなかった。
「じゃあ、明日、試合するから、お前、参加しろよ。逃げられ続けたが、もう逃がさないからな。強制だからな。会長にはもう伝えてあるから逃げられないと思え」
そうして俺は、友人に強制され、八百長の塔長という不名誉な称号を得ることとなった。
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