書きなぐり 理想と現実 忍者ブログ

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会長が好きな幼馴染副隊長が、会長、ああ可愛ってするだけの話です。
両片想いだけど、両想えそうにない二人です。
切なさはまったくない。


本文は続きからどうぞ。








幼馴染がびっくりするほどのアイドルになっていたら、幼馴染として俺はどうすることが正解だったのかわからないが、俺は応援するために、親衛隊だとかいうファンクラブに入った。
「やっべぇ、会長一人で仕事してるじゃん。ドンマイ」
「いや、ドンマイではなく」
俺は始終この調子であるため、ツッコミ役にまわりがちな親衛隊長とセットにされて、いつの間にか副隊長だ。
「俺は会長の出世は応援してやりたいんだが、これは稀にみる可哀想さだなぁ。アンラッキーにも程が有るだろ、会長、マジ、ドンマイ」
「いやだから、ドンマイではなく」
常々思っていたことだが、幼馴染は運がない。
惰眠をこよなく愛しているというのに会長だとか見るからに面倒くさそうな仕事を押し切られているあたりもそうだし、生徒会役員がインフルエンザに倒れ、こうして一人で仕事をしているあたりもそうだ。
何より俺に好かれているあたりが、ミラクル可哀想である。
「いや、だけどあの疲れた様子。3杯はいける」
「会長の貞操を守るためにも、この不審人物を野放しにしてはならないと、僕はすごくがんばってきたけど、君は口ほど行動しないよね」
隊長の言う通り、俺は口ほどにもない人物だ。
会長に嫌われたらこの世は地獄なので、その可能性があることはすべて排除する。
たとえば見ると悲鳴をあげてしまう黒い虫だって、会長になんらかの嫌われる要素になるのなら、戦えた。正直、俺もあの虫は得意ではないのだが、ありとあらゆる手段で立ち向かうこともできる。
燻煙剤とか、スプレーとか、新聞とか、ビニール袋とか、ホウ酸団子とかだ。万全をつくしたあと、団子を撤去しポプリを各所におくくらいには頑張れると思う。
「ああでもそろそろさっそうと助けに行ってありがとうって言われたい」
「ははは。残念ながらそういうのいっつも風紀委員長にとられちゃうよね。残念、僕らは親衛隊という名の一般生徒」
本当に残念なことに一般生徒は生徒会室立ち入り禁止だ。
もっと一般人にもやさしい国開きというか、生徒会開きがあっても悪くない。
「俺は生まれながらにしてご近所さんという素晴らしい地位をもっているのに、この無力さ……」
「神様はたぶん、君という欠点を会長にお与えになったんだ」
「すっげぇひどいこといわれてるが、あれは会長も悪い!なんであんな天使が近所に降臨してるんだ!」
他の俺を含めるクソガキと違って、整った顔、鼻くそなんてほじらないどころか存在してない風ですらあり、さらには女の子にモテモテで、……女の子にもてるということにおいては僻みしかもてなくて、ちょっといじめてしまったりしたが、負けず嫌いで可愛いからよしとしよう。
負けず嫌いだから、いじめられるとムッとした顔をしてにらみつけてく
るのだ。愛らしかった会長がムッとした顔は、それはもう可愛くて余計にいじめてしまった。
「会長本当、可愛かったもんなぁ。嫌われなかったのは奇跡っていうか、会長の存在自体が奇跡か」
「いじめっ子で変態が幼馴染とか会長様が可哀想だよ」
確かにそうである。
嫌われはしなかったのだが、いじめた分だけ、好意は好意として機能しなくなったし、気持ち悪いのは隠し通しているが、その分また些細な意地悪をしてしまう。
「会長が遠い」
「もともとそんな近くにいる人ではないけどね」




ひとり、またひとりとインフルエンザでいなくなった役員の穴埋めに仕事をしながら、思う。
祐市(ゆういち)が居たのならば。
弱気なような気がした。
祐市は俺にとって、女の言うところの王子様である。
いつもいつも俺をいじめてくるくせに、本当に嫌なことはしないし、本当に困って居たら助けてくれた。
祐市は、俺の知る限りじゃなんでも出来る。俺より勉強が出来、運動も出来て、さらに身長も高いし、男友達も多かった。
すごく格好良かったと記憶している。
それが俺の幼馴染だったのだから、すごく自慢で、神様、近所に祐市を住まわせてくれてありがとうと、何度礼を言ったことだろう。
女に無条件で優しいのは腹立たしい限りだが、俺にだっていつも最終的には優しかったし甘かった。
そんな祐市と別れが来たのは中学校入学の頃。
俺は、帰郷も面倒なクソ山奥の学校にぶち込まれ、祐市は公立中学に入学したのだ。
俺が帰郷した際、他の学区だった連中と仲良さげにしていて、声をかける間も無くいなくなった。疎外感を味わうのが嫌で声をかけないでいると、実家に帰るのが憂鬱になり、すっかり寮の住人になってしまった。
それでも、幼い頃の刷り込みは強いのか、これはまずいという時はいつも祐市を思い出す。
「祐市に会いたい……」
しかも、今回はインフルエンザが長引いているため、ひどいピンチに陥っているのかもしれない。
「だが、会っても何話していいかもわからねぇ」
おそらく、あのまま育ったのなら成績はよく、運動神経も良く、身長も高くて、格好良く、皆に好かれるやつで……ここにいれば、俺の友人として申し分ないとされただろう。
だが、ここにいれば他の野郎にもててしまう。
それは嫌だ。
だが、それでも祐市に会いたい。
生徒会の仕事などさほどではないが、祐市に会う大義名分になるなら弱ったふりもしてやる。ピンチだとかいってやれる。
つまるところ、祐市に会いたかったのだ。




「会長から聞いてしまったんだけど、幼馴染は会長より優秀で格好良いんだって?」
「だから会えないんだよなぁ。夢壊しちゃうじゃん。成績は特待だからいいんだけど、会長よりいいかっていったら微妙だし、運動神経もそこそこ、身長は平均より少し高いかなで、顔もそこそこ」
「夢は夢のままのほうがって、気がつかれてないしね」
「そうそう、きっと残念ガッカリするんだろなぁ。そこも可愛いんだけど」



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