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次から次へと、これは駄目なパターンです。
我慢をしないんですね。
いえ、つぎ、書きなぐるときは、是非、他のつづきをね。
ほんとね。
北の塔長×東の塔長
ファンタジー学園ものですよ。
我慢をしないんですね。
いえ、つぎ、書きなぐるときは、是非、他のつづきをね。
ほんとね。
北の塔長×東の塔長
ファンタジー学園ものですよ。
北は守り、南は正義、東は政、西は情報。
学園には、その四つを司る塔がある。
東の塔長は、生徒会長。
西の塔長は、情報部長。
北の塔長は、守護長。
南の塔長は、風紀委員長。
それぞれ、シグレ・ウィンザーリヒ、ユウヒ・サランバン、エイリ・グラウベル、カジカ・エディアルが勤めている。
生徒会長は、容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群のカリスマで、その声を聞いたものは誰でも意のまま操ると言われ恐れられながらも、焦がれられた。
風紀委員長は、生徒会長と肩を並べる成績と容姿をもち、強引なまでの力押しを得意とする。それでいて抜け目がない確信犯であり、誰もが口を閉ざすという。
情報部長は、謎に包まれた情報部の唯一の外部情報であるとされており、いつも、薄く浮かべられた笑みは排他的で薄情。だが、それ以上のことを知るものは多くない。
守護長は、静かである。学園のどの場所にいても、空気を鎮めると言われていた。その姿は、生徒会長と一緒であることが多く、また、その仕事が会長を守る事である。
この四つの塔、四つの組織、四人の長は、互いに同程度の権力を擁していた。
その一人であるシグレ・ウィンザーリヒは、当時塔長ではなかったエイリ・グラウベルという男が挨拶に来たときから、惹かれざるを得なかったということを知っていた。
「今回、守護につくことになったエイリ・グラウベルだ。会長は守ってもらうほどのこともないだろうから、便利な盾を使っていると思ってくれて構わない」
盾は身を守るために使う道具だ。
エイリは盾であることを、守る事ではなく道具であると強調した。
それは、シグレが生徒会長になり、入れ替わり立ち替わりだった守護の人間とは誰とも違う立ち位置だ。
十余人目にして、はじめてシグレの中であたりを引いた守護、それがエイリである。
生徒会長の守護ができると判断されただけの腕前もさながら、傍にいて邪魔にならず、阿とくれば吽とくる呼吸のあい具合、それでいて必要以上に接触はせず、また、守ろうという意思で動かず、道具でありながら従者ではない。
自然とシグレの中で誰より特別な位置に座り、その特別さが他を圧倒するのに時間はそう必要なかった。
「エイリ、一ついいか」
「ダメだ」
「どうして」
「お前、また、告白させてくれって言うだろ」
シグレの言葉一つで世界は変わる。
それが、シグレを生徒会長にさせた理由であり、生徒会長としての影響力でもあった。
「駄目なのか?」
「お前の言葉に抵抗すんのは、至難の業だ。好きって言われたら、好かれて当然。まして、俺がお前に悪感情を抱いているわけでもない」
シグレの言葉は、特別だ。
それは人を思い通りに動かし、シグレが期待したように感じさせる。
それを事実であると錯覚することも出来た。
それは、全校生徒が知るところであり、恐れられてしかるべきことだ。
だから、シグレは必要以上に話をしない。
「それでいいって言うのなら好きにすればいいが」
だが、シグレの言葉も利き難い人間がいるし、抵抗できる人間もいる。しかし、学園内ではそれも少ない。
その少ないうちの一人であるエイリは、ここのところ、シグレの言葉を止めていた。
「エイリが好いてくれるなら、なんだってやるが」
そうは言っても、シグレはエイリに告白できたことがない。
タイミングが悪いこともあるし、それ以上に、エイリがせっかく止めてくれているというのに、それに逆らって意志を曲げさせるようなことは、逆効果というものだ。
シグレの言葉によって植えつけられた錯覚で好かれるよりも、エイリ自身に自ずと好かれるほうがいい。シグレはやはり黙ってしまう。
「会長、北の塔長と話してる場合、じゃ、ないです!今!何しに来てるかわかってますか!」
見渡す限りの荒野。
目立つものといえば岩と地の裂け目くらいの何もない場所に、シグレ率いる東の塔の面子はやってきていた。
高等部一学年の生徒が、このあたりに遠足に来て自然災害に巻き込まれ、裂け目に落ちたという話を聞きやってきたのだが、救助をするのは空の飛べる人間だけである。東の塔の人間で空が飛べるのは四分の一を満たない。空を飛ぶという行為はそれに特化した能力のある人間か、高度な魔法を使う人間にしかできないことだ。
だが、シグレさえいれば空を飛ぶ必要はない。
「いつも通り、しゃべりに来た」
シグレが一言、落下はしない、歩けというだけで、人は宙に投げ出されても歩くことが出来る。
「何言ってるかわからないですが、たぶん、変なこと言ってますね?!」
シグレは少し楽しそうに、頬を緩めた。
いつもならば、黙って頷いたり首を振ったりしなければならないところなのだが、一年生が巻き込まれた自然災害である暴風のおかげで、距離を置くと声がうまく届かない。
うまく聞こえていないことは解っているが、人と会話をしている気がして、少し楽しく、また、何を言ってもいい気がして面白いと、シグレは思う。
「……性質の悪いことは言ってやるなよ」
シグレの近くにおり、普段よりシグレの声を聞いていられるエイリは、シグレの顔を見てため息をついた。
シグレはわざとらしく耳元に手を当てて、聞こえないふりをしたあと、口を開く。
「止め」
それだけで、風は吹き止む。
シグレは指を三本立てた。
「三時間ですか?」
風が止んだため、口を閉じ、シグレは頷く。
そしてシグレはエイリにより近づいた。
「待て、近いうえに、囁かれるのは辛い。耳を澄ませなきゃならんだろうが」
エイリが嫌そうな顔をしても、シグレはお構いなしだ。小さくエイリに向けて言い放つ。
「エイリ、聞け」
普段話しているときとは違う力のかかり方に、エイリは思わず眉間に皺を寄せ、耐えるように奥歯を噛み締めた。
そして、エイリが再び何か言う前に耳元でシグレが囁く。
「精霊に働きかけているだけだ。本来行うべきをできず、精霊達に無理をさせている。抑制された分、反動がひどくなるから、やるなら早く救助してくれ」
エイリはそれを聞いた後、更に奥歯を噛み締め、少しだけ間を開けて言った。
「自然現象止めると後が面倒だから、早く救助してもらいたいらしい」
シグレは満足げに頷いた後、暴風でなくてもいつも頭が鳥の巣のような副会長に声をかける。
「ミズハ、よろしく頼む」
「……了解した」
頷く副会長のミズハに、不満そうにしたのは、暴風の中、シグレに声をかけていた会長補佐のカズホだった。
「いつも副会長ばっかり、ずるいです」
シグレは思わず笑って、もう一度口を開く。
「皆も頼む」
抵抗力が弱い人間は、シグレが名前を呼ぶだけで動かなくなることがある。だからシグレは、声をかけるとき少しだけ注意して言葉を選ぶ。
だが、選んだ分だけ、その効果は絶大だ。
ミズハとエイリ以外の人間は、喜び勇んで地の裂け目へと飛び込んでいった。
残されたミズハは鳥の巣をさらにかき混ぜたあと、首を捻る。
「あれだけで……お得だな」
「お前は抵抗力が強いからな、影響はないだろ」
「……そうでもないが」
ミズハの言わんとすることがわかるエイリは、黙ってシグレと少し距離をとり、そこに留まった。
「……行ってくる。シグレを、頼む、守護長」
「その名前、あまり好きではないが頼まれておく」
ミズハもそういって、裂け目へと飛び込んでいった。残されたシグレとエイリは裂け目を眺め、彼らの帰りを待つ。
「……ところで、エイリ。一つ」
「駄目だといっている。魔法使ってるんだから、大人しくしてろ。自然現象曲げるのは、負担がかかるのも知っているんだぞ、俺は」
「じゃあ、代わりに話し相手になってくれ」
「それくらいなら、お安い御用だ」
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