書きなぐり 無題 忍者ブログ

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平凡×不良で、平凡がほんとう普通で、不良をおとすには。
とか考えながらかいたけど、不良がすごく平凡のことすきじゃないと無理だね。
と思ってしまいまして。
でも、好きになったのは平凡が先なんだから、結果的に平凡のせいで不良がドツボに陥る。
とかそんな話。

感性が似てるから、気が合うんだよ。
というか、こうゆっくりじんわりもいいんじゃないかな。と思うのです。
好きになるきっかけなど、実に地味なものだよ。

なんか長い終わらない。
とかいいながら、ポイします。


本文は続きから。
平凡×不良。






一年くらい前。
俺に好きな人ができた。
何をとっても中ぐらい。友人も多くなく少なくなく、初恋は幼稚園の先生で、セカンドラブは小学校の時のちょっと可愛いあの子。告白もしないまま、俺は男子校にやってきた。
そして、三度目の恋は同性。
同性ってだけで今までの俺を振り返ったりとか、何故とか悩んでしまうのに、しかもその人は有名人でヤンキーだった。
有名人で、ヤンキー。
俺には分不相応すぎる。
告白はかならずしなければならないものではないし、これはきっと、いわゆるファン心理とかいうやつで、好きとかそんなんじゃないとかあがくこと三ヶ月。
その人を見るたび、その人の友人を見るたびに思ってしまうのだ。
やっぱり憧れとかではない。
その人の友人もやっぱりヤンキーで、ヤンキーはやっぱり普通に近寄りたくない。けど、その人は見るたびなんというか、ヤンキーなのに無駄に輝いて見えた。
大体、俺がその人を好きになったと思われるきっかけもよくない。
食堂で、ぶつかって、あちらの持ってた食べてないうどんをこちらの食い終わった丼でナイスキャッチしてしまったとかいうミラクル。
そんなん否が応でも盛り上がってしまう。
二人してすげーってつぶやくよそりゃ。
うどん、食ったあとのに入ってしまったからどうしようなんてちょっと浮かれて話し掛けたらやるよとか言われて、ラッキーだとか、よく見たら有名人じゃんと言うかヤンキー迫力とか…でもさっき、二人してすげーって盛り上がってしまったし意外だなとか。
これで恋などと無理だろ。
無理だと思ってた。
有名人だし、避けたいヤンキーだから、目についてたんだろうし。だから特別意識とかしてなくても目はいくものだ。
なのに、あのことを思い出すとなんか笑える。
そのうち、結構良い奴分類されてて、悪名も高いのに好きになった。
きっかけなんてものは些細でどうでもいいんだ。ちょっといいやつとか、その程度で気になって、時間が勝手に…風化させてくれず育ててくれた。
気になってるのが同性っていうのも俺のなかではありえなくて、ついつい余計に気にしてしまったのも原因だ。
理由や原因を探るとそういう地味なもので、なんとも俺らしい。
告白なんてしなくたって気持ちはきっと落ち着く。そう思って遠くから眺めることに終始していたのに、それから、五ヶ月。
ダメだった。
もう好きで好きで。食堂で見るたびニヤニヤだなんて気持ち悪い。それ以外の場所で見つけたら走りだすくらい上機嫌になるとか、本当どうかしている。
どうかしているからこそ、少しでも近付けたらいいなと親衛隊なるものに入ってしまった。
それから二ヵ月。俺は親衛隊って意外と普通だなと思った。
俺のことはミラクルうどんのひとと知れ渡っていて、ミラクルのル、うどんのう、ひとの人から、ルートと呼ばれている。
ルート、ホントに矢上(やがみ)様のこと好きだよねとよく言われている。
抱かれたいという連中にまじったりして、そういうのはどうでもいいから少しでも見かける時間を増やしたいとか、増えたら増えたでもっととか、接触してみたいとか、謙虚だねぇ…とよく言われた。
親衛隊には何故かヤンキーもいて、免疫もついた。
無駄に思った。調子付いた。
これはチャンスなんじゃないか。
今の俺なら鼻で笑う。何のチャンスだよ、と。
そして俺は矢上紫紺(やがみしこん)と接触をはかった。
そうして二ヵ月。
俺は転校生にタッチパネルの説明をしていた。
ここ半年程でかわったシステムのおかげで、並ばなくてよくなった食堂は大人気だ。
「注文して、ここにカードを通す。簡単だろ」
「お、おう」
俺は理解しているかどうか怪しい転校生にそれ以上の説明はせず、席をたつ。
「つうわけで、あとは芦田にも聞いてくれ。俺はやらねばならんことがある」
「や、ちょっと待てって…!」
「またない」
俺は一分一秒とて惜しい。
そう思いながらとある席に向かう。
そこは食堂の隅、あまり目立たない席。
「よかった…開いてた」
そこに座って料理を頼む。
オーダーが届く頃になるとざわざわとまわりがうるさくなり、俺の席に二人のヤンキーがあらわれる。
「嵯峨(さが)ちゃん、ご苦労さん。オーダーは?」
「ちゃんとしときましたよ」
「やった」
俺はその席をたつと、二人に席を譲る。
一人のヤンキーはそれを当然のように思っていて、もう一人は俺の態度に眉をよせる。
「嵯峨ちゃんってホント、ステキ!」
「篠田さんにそういってもらえると嬉しいです」
何ていいながら、まったく嬉しくない。
俺は調子に乗って、好きな人のいつも隣を占有しているヤンキーのパシリになった。
何故好きな人のパシリにならなかったのだろう。
「なぁー…紺ちゃんも思わない?」
「さぁ?」
あざけりを含んだ声が冷たい。
ああ、今日もかっこいいな。近くで見れただけでも満足なのに声まで聞ける。素晴らしい。
ここまできたらもはや崇拝で気持ち悪いレベルだと友人は言うが、恋とはだいたいそんなもんである。
しかし、それを表に出すかいなか、相手やまわりに迷惑を掛けるか否か、好意的に見られるか否かは別の話だ。
俺は誰にも…親しい友人にはちょっとうざがられているが、その程度だし、好きな相手に気持ちわるがられるどころか、嫌われている。
相手に迷惑をかけているのではないかと思われそうだが、俺の気持ちは微塵も伝わっておらず、そういった意味で気持ちわるがられてはいない。
俺が、少しでも相手に近寄りたいばっかりに、その友人のパシリになっているというのは本人の知ることだろうし、そのせいで嫌われているのも何となくわかっている。だが、最初から恋人などというものを諦めている俺からすれば、嫌われることは本当に辛いが、こうして間近でみられ、声まで聞ける立場を捨てるのも惜しいことだ。
最早嫌われているのだし、これ以上嫌われることがないなら、これでいいとも思っている。
その内、諦めもつくだろうと思っていた。
もちろん、好かれるチャンスがあるなら縋る勢いだが、それに余計な冒険が必要ならしない。それでさらに嫌われたら立ち直れないからだ。
「冷たいんじゃないの?嵯峨ちゃんって紺ちゃんの親衛隊員でしょ」
他人に把握されてしまうくらいには目立ってる。きれいでも可愛くもなけりゃ、ヤンキーでもない。平々凡々十人並み。目立たないからこそ、親衛隊という特殊な集団で目立っている。
その上、親衛隊の連中はこぞって俺に好意的だからだ。
普通だからこそ当たり障りないし、普通だからこそ、普通の友人関係を築く。
普通さとまともさに飢えていたらしい親衛隊員たちは俺を貴重な人物として非常に気に入ってくれた。親衛隊員が多くなかったのも、理由としてあった。小さい部活の先輩後輩同期が仲良いのは何もおかしいことではない。
「だから?」
そうその通り。まさにだから?だ。
矢上紫紺は親衛隊の抱かれたいという連中をとことん嫌う。恋愛感情で見てくるのは、そういうこともあるだろう。だからそれが?という態度なのだが、抱かれたいから抱いてくださいと迫る連中には容赦がない。その気もないのに不愉快だ。と。
気に入らないことに手を出したり暴れたりということはないのだが、可及的速やかに切って捨てる。相手にしないという態度にでる。だから、抱いてくださいな連中は親衛隊に入ってはすぐに消えていく。故に親衛隊は人数が少ない。
ヤンキーは元々入る人間が少ない。ヤンキーならば親衛隊ではなく、矢上紫紺の傘下に入るという形をとるからだ。
そんなこんなで、矢上紫紺は親衛隊については別にだし、俺が近寄る手段に友人を使ったというのでなければこれほどの嫌悪感を表したりはしないのだ。
もっとも、俺がこれ以上の何かを求めるわけでなく、友人にぱしられたままという誰の実害もない状態が続いている現在、それ以上に嫌う理由はない。
ちょっと目について欝陶しいが、さほどじゃない。程度だ。
無視できる範疇といっていい。
「冷たい。嵯峨ちゃんそれで満足しちゃってるわけ?」
「できたら好かれたいですけど」
ちらりと見た矢上紫紺はこちらを見ない。
話もしない。
話し掛ければ欝陶しいことだろうし、俺のなかでは未だとおい人だ。
「これで不満はないです」
満足はしていない。しかし不満でもない。
俺はそう告げてその場からささっと捌ける。
食事はきっと楽しくしたいだろうし。



「……紺ちゃん、結構嵯峨ちゃんのこと気に入ってんのにね。態度にでてるのにね」
篠田祐樹とは長い付き合いがある。故にわかることだ。
俺は嵯峨浅海(さがあさみ)のことが好きである。
態度にはでている。
祐樹なんぞ使わなくても俺は嵯峨の傍にいたいし、祐樹に使われる嵯峨が気に入らない。
今だって嵯峨がいなくなって若干不満であるが故に不機嫌であるし、嵯峨が不満がないとかいうから、もっと欲張れというかどうしようもないくらい好きになってほしいと思っている。
嵯峨は普通の男だ。
ヤンキーなんてできたら避けて通りたいし、親衛隊などきっかけさえなければ入らない。
親衛隊に入る前から嵯峨のことが好きで、チャンスを探していた俺からすると、嵯峨は俺から遠ざかる一方だ。
親衛隊はほぼ俺のファンクラブのようなものだ。
俺のことは見て楽しむ存在であって、それ以上ではないと言われているようなものでえらくショックだった。
しかし、まだ好意的な感情を持っていると思えるから、気を取り直した。
まだチャンスはあると。
だが、他人から親衛隊だからとかいわれたら、おまえにチャンスなどどこにもないと言われているようではらもたち、殊更冷たい態度に出てしまう。
嵯峨には緊張してしまうし、余計に態度は硬化し…結果がこれだ。
「祐樹」
「何?」
「殴っていいか?」
「え。痛いからダメ」
好きだと一言告げれば満足できるわけではない。できたらずっと嵯峨の傍にいたい。俺は確実性がほしい。
俺がそんなにも嵯峨が好きなのには理由がある。
嵯峨は特別きれいとかかわいいとかかっこいいんでもなければ、やさしかったわけでも何か目立ったわけでもない。
けれど、俺と嵯峨は同じ学校で同じ学年だ。当たり前のようにすれ違い、当たり前のように鉢合わせることだってある。もちろん、その逆もしかりだが、俺は嵯峨を好きになるきっかけがあった。
うどんのことではない。
それは後に思い出したことで、そんな偶然がきっかけではない。
俺は素行不良で、同じ学校で同じ学年であっても、クラスどころか校舎すら嵯峨とは違う。
けれど、食堂は一緒で、当時食券製でお洒落さに欠け、メニューも少なく、面倒なそこを愛用する奴は少なかった。
食堂にいくやつは大体決まっていて、食にこだわりがなかった俺は比較的人が少ない食堂が気に入っていた。
食券を廃し、メニューも一変するといい、少しの間閉鎖する直前。
食材を使いきるといって鍋パーティーのようなものを行った。
ここで孤立してしまうのは俺のようなわかりやすい悪名があるヤンキーで、友人と行けばいいものを、鍋なんて知らずにやってきた俺は一人鍋となった。
一人でいるときに一人鍋を行うことに何か思うところはまったくないが、他が楽しそうに鍋をしているなか、一人水炊きは寂しいものだ。
すぐに食べて、すぐに帰ろうと思っていた。
いや、俺はそれを実行した。
すぐに帰ろうとしていた。
そこに嵯峨がやってきて、俺がつついていた鍋というか、コンロをつかう運びになった。
しかし、嵯峨は俺を追い掛けてきて、俺にプリンを差し出した。いつもA定についていたものだ。
好きでも嫌いでもないが、食堂の名物で、その日は特別来た生徒全員に配られていた。俺とて例外ではなかったが、居心地の悪さにその場から立ち去ることを急いでいた俺はそれを忘れていきかけた。
普通ならばかかわりたくもないだろう嵯峨のような人間が、俺にプリンくらいの忘れ物で、恐る恐るながら近づいた。
疎外された気分になっていた俺は、なんだかそれだけで気分がよくなりプリンをうけとり立ち去った。
理由はそれだけ。
嵯峨がどういうつもりでそういった行動に出たかは知らない。
だが、それが単純に嬉しかった。
それだけで人に対する評価はあがる。あいつはいいやつだと思える。
食堂が再開して、食券がなくなってタッチパネル式になると、食堂は賑わった。
欝陶しい視線も歓声もうけるようになった。
食堂に行くのはやめようと思う前に、俺は嵯峨を探すようになっていた。
嵯峨は普通だ。
良い奴だからといって、捜し出して見ているほどの面白みに欠ける。
良い奴だからといって惚れるほどじゃない。
きっかけはプリンだが、確固たるものにしたのは食堂がかわってから初めてみたときのことだ。
ただ単に偶然目が合って、少しびっくりして俺に会釈してくれただけ。
普通の反応だ。
普通の反応なのだが、好感はもてる。親しみももてる。
しかも俺は嵯峨がかかわりたくないヤンキーだろうから、視線をそらすなり、無視するなりできただろう。
仲間意識みたいなものが、そこにできてしまって、俺は悪くないと思った。
正直、劇的なことは何一つなかった。
人を好きになるのに大きな理由など一つも必要ないのだと、理由を探して思った。
俺は元々バイであるし、煌びやかな人間が好きというわけでもない。悩まなかった。
必ずしも好きな奴に好きと言わなければならないわけではない。
俺と嵯峨の接点は少ないのだ。
穏やかに始まった恋は、それは穏やかに進行し、眺めるだけで満足し、いつか潰えて消えてしまってもそれはそれでいいのではないかと思わせた。
俺と嵯峨の距離は遠かった。
けれど嵯峨を食堂で見るたびに、俺の気持ちは進行する。もう少し近くによりたい。傍にいたい。
どういった形でもいい。友人でもパシリでもいい。
傍にいたい。
恐がられても嫌われても。
そうして俺が行動に出る前に嵯峨が行動した。
親衛隊に、嵯峨が属した。
迫ってくるなら、それを利用したのに、嵯峨は俺をファンとしてしか見ていない集団に属した。
線引された気分だった。
それでもまだ、好かれているのだからと、親衛隊が俺に見ている理想どおりの姿でいたというのに、祐樹のパシリになるもんだから。
祐樹にぱしられているのにイライラする。
祐樹のいうことに、はいというのがイライラする。
俺は気持ちを悪化させていた。
これは不味いと思う前に、嵯峨を俺のものにしたいと思い出した。
嫌われたくなくなったし、好きでいてほしくなった。
俺の態度が硬化したのは、嵯峨を前に緊張するのもあるが、嵯峨が特別だからだ。
嵯峨には作った俺を好いてもらいたくなかった。
そして、気心の知れた友人と同じ態度にでると、ああなってしまうのだ。
嵯峨には素直でありたい。同時に嫌われたくない。
「めんどくせぇの」
呟いてため息をつく。
嫌われる要素しかないが、もし嵯峨がうっかり俺を好きになって後、作った俺を演じきる自信はひとかけらもない。
俺は器用な人間ではないのだ。



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