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王道的なの続編。
なんというか、書記様にどうしてもやらしたいことがあっただけなんですけど。
王道的な!学園に本物の非王道転校生がきたよー!
というわけで。
会計様と一匹狼はどうなったのか!
会長の恋はみのったのか!
そんな第二弾。
前より、どうしようもないテイストでお送りいたします。
本文はつづきからどうぞ。
俺がいつもどおり、会長に探され、見つけられ、仕方なく一緒のテーブルで飯を食っていると、そいつはやってきた。
黒いヅラに、瓶ぞこ眼鏡。平均に下回る身長のその生徒は、俺のいたテーブルに向かって走ってきた。
「あーおまえ!」
誰であろうと全力といった感じのそいつは、俺を指差して嬉しそうにこういった。
「リッジの!」
バレてしまったのなら染めるのは面倒であるという理由から、すっかり毛先のみが赤毛になっており、髪型をセットして眼鏡までかけていた俺は毛先が赤いという以外は元通りになっていた。
親衛隊という勝手にできたファンクラブみたいな集団と、会長からは大好評で、被服科の専属スタイリストからも文句はない。それならそれで大丈夫だと、何か保証していた。
髪をもとにもどしたにもかかわらず、存在感の主張が激しいのはたぶんそのスタイリストのせいで、今日もおしゃれすぎるシャツが風紀に喧嘩を売らんばかりだ。
被服科があるせいなのか、もともとそうなのか、服装や髪型などの規定はゆるいので許されているが、そうでなければ今頃、風紀にも追いかけられていたに違いない。
そんな、あまり代わり映えがないといえば代わり映えのない俺だが、周りはどんどん変化していっている。
会計と仲がいいのは仕方ないことなのだが、追いかけ回され、迫られないかぎりは逃げなくなった俺と何故か食事を一緒にするメンバーなるものが生徒会連中をしめていた。
会計や生田と飯を食うのは当たり前だし、会長は俺を見つけては近寄ってくるのだから、当然のように一緒に飯をくっている。しかも他のメンツは、最初、感無量といった様子で飯をくっていた。
そんなにひどかったのか、ラストの副のご乱心は。
気がついたら習慣化していて、だからそいつが俺に近寄ってきたときも当然のように一緒に飯を食っていた。
書記が静かに立ち上がり、近寄るそいつの前に立ちはだかった。
「何か?」
それは俺が聞くべきことではないだろうか。そんなことを思いながら、のんきに焼きそばを箸でつまむ。
「なんだお前!俺は!リッジの総長に用があるんだ!」
残念ながら元総長であって、現在は普通の帰国子女である。
塩味の焼きそばがうまい。
「どけよ!」
そういって突進してきたそいつに、書記はその長い腕を活かして手を伸ばし、頭を掴んだ。
「阻止」
ジタバタとするそいつは、書記に近寄れない。
それをうっとりと眺める副会長を発見し、俺は紅しょうがを箸で掴んだ。
「…綾川(あやかわ)って、もしかしなくても、変な趣味してんの?」
すっかり生徒会一味と化している春田に聞いたのだが、返事は会長からかえってきた。
「あいつの趣味は変化球だ」
そこまで変なのかと納得した俺は、一応、バタバタしているそいつに尋ねた。
「なんか用か?」
「俺!俺だよ!」
俺は一度春田を見る。
春田は俺の視線に首を振った。
春田の記憶にもそいつのことは残っていないらしい。
「詐欺師に知り合いはいねぇから」
生田が咳き込んだ。
どうやら咽せたらしい。その様子に春田が、俺を睨む。
お前ら両思いなら、俺に当たってないでさっさとくっつけよと思いながら、首を振ってから、右手で握り拳をつくり、肘をたて、そっと下ろす。アタックチャンスだ。
春田がハッとして、頷いた。
「生田くん大丈夫ー?」
「ッ、は、モズ、オレオレ詐欺じゃ、ねぇから!」
笑ってしまって咽せたらしい。俺にしっかりツッコミをいれたあと、春田になんとか大丈夫だと告げて、近寄っていた春田とちょっと距離をとる。春田がちょっと寂しそうにしているのに、早く気がつくといい。照れて距離とるとかバカらしくなるからな。
「さて、飯食ったし、俺、先いくわー」
「どこへ?」
俺が飯を食い終わったとしるや否や頑張って飯を頬張る会長は、育ちがいい。
飯はわりとゆっくり食べる。
頑張っている姿はいやに微笑ましいが、俺はその様子を無視して、春田に返す。
「秘密」
「かいちょーごめんねー。今日も秘密だってぇー」
頑張ってほおばっている会長はそれでも、首を軽くふって、口に入っているものを飲み込むとこういった。
「百舌鳥がケチなだけだ」
「やーい、ケーチ!」
春田、お前はどっちの味方なんだ?
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