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冴島さんのなんかこう、病んでる具合というか、あ、そっか!なるほど、クールな人ではないんだ!
具合が露見。
戦闘狂なんですよね、冴島さんね。
たとえば西秋が弱かったら、冴島は見向きもしなかったし、簡単に負けるようなことがあったら、もうなんとも思わないんだろうという具合。
わかりやすく強い人、もしくは面白く遊べる人間がすき。
でも、生徒会長のことは変態だと思ってる。
というわけで、本文は続きからどうぞ。
漸くお話が動き始めた第5弾です。
真面目に授業など受けるものではなかった。
いつもとは違う、人気のない場所に呼び出された冴島は、しみじみそう思った。
少々、授業で活躍しすぎたらしい。
「あんた、生意気なんだよ!たかだか黒のくせに…!」
力こそすべてとは言わない。
しかし、能力の上下、多い少ない、それらを使って地位が出来上がっているのなら、ある程度そう言った風潮があっても仕方がない。
冴島はそれが面倒くさくて、中等部の頃は何もかもを潰して回った。
基本色の五色で目立って能力が強いと思われる人間は、基本色のくせにと馬鹿にされがちであるからだ。
色は多種多様である。基本色は多いだけに頂点を極めることは難しいとされるが、多いが故に珍しくない上に、それこそ能力の強弱はピンからキリまであるのだ。珍しい色は珍しいだけあって、その色を使える人間が少なく、ある程度の強さがある。
故に、先日、銀という珍しい色を持つ生徒を眠らせた、黒の冴島は『生意気』と言われても仕方がないのだ。
銀を眠らせたのが、銀と一緒にいた白であるのなら、まだ何も言われなかったかもしれない。
使う色には色々な思い込みやイメージがつきまとう。
これまでの歴史上でのことや、その色が与える印象。それらによって思い込まれたものはなかなか消えるものではない。
たとえば、白ならば汚れを嫌う色だ。
まじれば何もかもを優しく見せる色であり、高潔さを感じる。
悪く言えば、汚れを嫌う分、最初の色を保つことは難しく、他の色が侵食することを嫌う。混じれば優しいとは、それこそ優しい言い方で、ぬるくなった、ぼんやりとした、不鮮明な色になるといってもいい。
そんな白とは違い、黒は、少々汚されたところでその色を気にする必用はない。
何者にも負けない色、その色さえも侵食して、潰してしまう色。
汚れた色と言われる色。
けれど、白いものには弱い。一度白が混じればけして戻ることはない。
よく言えばはっきりした色、何者にも負けない色。最後にたどり着く色。
しかし、冴島は思う。色は使いようであり、持っている色は問題とはしない。
白をはっきり見せるのはきっと黒であるし、黒の中、はっきりと主張するのは白だ。
白は他の色を違えることなくみせる下地になり、黒は白ではっきり見えぬ色をはっきりみせ、時に他の色に攻撃性を与える。
何のために色に音を付けるのか、かぶせるのか、合わせるのか、描くのかを考えて欲しいものだ。
そう思う。
「もう二度と銀の方に近寄らないで」
授業中にたまたま近くにいただけなのだ。
理不尽だが、その理不尽さを叫ぶことも、彼にとっては面倒だ。
「わかった」
とりあえず、そう頷いておけば当面問題がないことを彼は知っている。
ただ、そう頷いてそのまま、何もしなければ再び同じことをくり返し、三度ほどで更に面倒くさいことになることも彼は知っていた。
だから、中等部の時はそれらの面倒事を潰した。
ねじ伏せてしまえば、実力さえ示せば、その色と名前をもって恐れられ、あるいは尊敬され持ち上げられる。
それはそれで面倒くさいと、彼は思う。
「もしも今度があったら、死ぬほど後悔させてやるんだから」
そう言われながら、冴島は鼻で笑うのを抑えた。
やれるものならやってみればいい。
自分自身の力にそれなりに自信がなければ、潰し回るだなんてことはしないし、もし、冴島より強いのならば、それはそれで楽しむことができる。
面倒でも能力を使って潰し回ったのは、彼がそれを楽しいと感じていたからというのもある。
何よりも強いものと遊ぶことを求めていた。
だから、自分自身よりも上の実力者である西秋と出会い、彼は潰し回るのをやめてしまったのだ。
西秋がいるのならば他に必要なものはあまりない。
「…つまんねぇなぁ…」
呼び出しをした生徒がいなくなったあと、彼はポツリと呟く。
風紀保護観察委員会が生徒会にも、風紀委員会にも潰されず、それなりに有名な人物を潰しだしてしばらく。
彼は西秋三枝と会っていない。
しばらく、デートもしていない。
そろそろ、授業で暇を潰すのにも飽きてきた。
「レッドに従うようで腹立たしいが、まぁ…つまんねぇなら仕方ねぇ」