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あとは、がんばれよ、阿蘇ー!
とか、そういう感じです。
では、本文は続きからどうぞ。
「あんたといると、なんか、思い出すんだよな」
俺がそう言うと、そう?と笑う。
なんだか、遠い。
少し前だ。
幼馴染が、作家の知り合いとやらを紹介してきた。
俺も知っているような作家で、あるとき映画を見て以来、なんとなくその作家の本を買い続けてきたくらいには、好きな部類の……つまるところ、ファンだった。
あとがきに見られる軽薄さはそのままで、よくしゃべるし、よく笑う。
けれど、たまに、なんだか遠い。
「なに思い出すの?」
ヘラヘラ笑っているのに、寂しそうで、俺といるのにとたまに腹が立つ。
「ちょっと昔。俺が生徒会とかやってたころ」
「うーわー、頭良さそうって思ってたけど、生徒会とかやってたの?」
額をたたいて楽しそうではあるが、とても態とらしい。
普段から、何かと嘘くさいそいつらしい仕草だ。俺は、この嘘くささが嫌いである。
「生徒会長だったんだが」
「トップかー。これはスゴイ」
俺でなくても腹が立つだろう。
茶化されているようにしか感じないのだ。
「好きだったやつがいんだけど」
「へー……」
適当な返事をされて、腹がたつ。
この男といると、腹の立つことしかない。
けれど、何故か気がつくと、次に会う約束をしてしまう。
「そいつのこと、思い出す」
「それって、似てるってこと?やだなー俺、照れちゃう」
「バーカ、似てねぇよ」
即座に否定して、俺は思い出す。
あいつはそうじゃなかった。
いつも近くにいた。俺が悩んでいると、軽口たたいてくるし、たまに気持ちが軽くなることを言ってくれた。
後ろを振り向くといつもそばにいて、俺が倒れそうなら支えてくれるような。
それだけ、近くにいるくせに、掴めない。
遠い。
「……探せたって、傍に居んのに居ねぇんだから」
そうか、共通点はこの距離感か。
そう思って、思わず呟いた。
その呟きが聞こえたのか、作家である阿蘇(あそ)が目を見開いた。
「……聞こえたか?」
「……」
阿蘇は、顔をくしゃくしゃにして笑った。
気のせいだろうか、泣きそうに見える。
「うん」
「恥ずかしいから、忘れてくれ」
「うん、ちょっと……うん」
阿蘇は、そう言って笑ったまま、俺に抱きついてきた。
「おい、ちょっと」
無理矢理剥す。
「幸せだなぁと思って」
「いや、わけわかんねぇよ」
「鹿楼(ろくろう)会長」
「あ?」
急に俺が会長だったことを持ち出してか、阿蘇は俺を会長と呼んだ。
俺は眉間に皺を寄せ、阿蘇を見る。
相変わらず、笑っているくせに、いつになく近くに居る気がした。
「好きだったよ」
「ハァ?」
何を言いたいか分からず、首をひねると、阿蘇が続けた。
「俺ね、また、好きになったから」
「何?」
「更にすきになったから」
急に告白されている事実に、俺はついていけない。
「俺のこと、また好きになってください」
「いや、意味分かんねぇよ」
手を大げさに振ると、阿蘇が楽しそうに笑った。
本当に楽しそうだった。
「鹿楼くんが俺のことすごく好きになってくれたらいいなって話」
「いや、話の流れおかしいだろ。作家しっかりしろよ」
本当だねぇと、やっぱり笑う阿蘇に、なんだか視線が向けられず、俺は視線をそらした。
どうして、今日は、こんなに近いのだろう。
掴める距離にいるような気がして、俺は、何故か視線をさまよわせた。
落ち着かない。
「さて、二人が待ってることだし行こう?」
俺は阿蘇に頷いて、阿蘇の少し後ろを歩く。
たまにこちらを確認する阿蘇に、思う。
そばに、いるんだな。
なんとなく、思う。
俺がそう言うと、そう?と笑う。
なんだか、遠い。
少し前だ。
幼馴染が、作家の知り合いとやらを紹介してきた。
俺も知っているような作家で、あるとき映画を見て以来、なんとなくその作家の本を買い続けてきたくらいには、好きな部類の……つまるところ、ファンだった。
あとがきに見られる軽薄さはそのままで、よくしゃべるし、よく笑う。
けれど、たまに、なんだか遠い。
「なに思い出すの?」
ヘラヘラ笑っているのに、寂しそうで、俺といるのにとたまに腹が立つ。
「ちょっと昔。俺が生徒会とかやってたころ」
「うーわー、頭良さそうって思ってたけど、生徒会とかやってたの?」
額をたたいて楽しそうではあるが、とても態とらしい。
普段から、何かと嘘くさいそいつらしい仕草だ。俺は、この嘘くささが嫌いである。
「生徒会長だったんだが」
「トップかー。これはスゴイ」
俺でなくても腹が立つだろう。
茶化されているようにしか感じないのだ。
「好きだったやつがいんだけど」
「へー……」
適当な返事をされて、腹がたつ。
この男といると、腹の立つことしかない。
けれど、何故か気がつくと、次に会う約束をしてしまう。
「そいつのこと、思い出す」
「それって、似てるってこと?やだなー俺、照れちゃう」
「バーカ、似てねぇよ」
即座に否定して、俺は思い出す。
あいつはそうじゃなかった。
いつも近くにいた。俺が悩んでいると、軽口たたいてくるし、たまに気持ちが軽くなることを言ってくれた。
後ろを振り向くといつもそばにいて、俺が倒れそうなら支えてくれるような。
それだけ、近くにいるくせに、掴めない。
遠い。
「……探せたって、傍に居んのに居ねぇんだから」
そうか、共通点はこの距離感か。
そう思って、思わず呟いた。
その呟きが聞こえたのか、作家である阿蘇(あそ)が目を見開いた。
「……聞こえたか?」
「……」
阿蘇は、顔をくしゃくしゃにして笑った。
気のせいだろうか、泣きそうに見える。
「うん」
「恥ずかしいから、忘れてくれ」
「うん、ちょっと……うん」
阿蘇は、そう言って笑ったまま、俺に抱きついてきた。
「おい、ちょっと」
無理矢理剥す。
「幸せだなぁと思って」
「いや、わけわかんねぇよ」
「鹿楼(ろくろう)会長」
「あ?」
急に俺が会長だったことを持ち出してか、阿蘇は俺を会長と呼んだ。
俺は眉間に皺を寄せ、阿蘇を見る。
相変わらず、笑っているくせに、いつになく近くに居る気がした。
「好きだったよ」
「ハァ?」
何を言いたいか分からず、首をひねると、阿蘇が続けた。
「俺ね、また、好きになったから」
「何?」
「更にすきになったから」
急に告白されている事実に、俺はついていけない。
「俺のこと、また好きになってください」
「いや、意味分かんねぇよ」
手を大げさに振ると、阿蘇が楽しそうに笑った。
本当に楽しそうだった。
「鹿楼くんが俺のことすごく好きになってくれたらいいなって話」
「いや、話の流れおかしいだろ。作家しっかりしろよ」
本当だねぇと、やっぱり笑う阿蘇に、なんだか視線が向けられず、俺は視線をそらした。
どうして、今日は、こんなに近いのだろう。
掴める距離にいるような気がして、俺は、何故か視線をさまよわせた。
落ち着かない。
「さて、二人が待ってることだし行こう?」
俺は阿蘇に頷いて、阿蘇の少し後ろを歩く。
たまにこちらを確認する阿蘇に、思う。
そばに、いるんだな。
なんとなく、思う。
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