書きなぐり 副班長の日課 忍者ブログ

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風紀続きます。
朝からいちゃいちゃしやがって!

彼の朝は早い。
15になった数日後から彼の朝は非常に早い。
朝六時には台所に立っている。これでも遅くなったほうだ。
彼は男子高校生らしいでかいだけが取り柄の四角い弁当箱に彩りよく料理を並べていく。
卵焼き、ほうれん草のお浸し、プチトマト、唐揚げ、エビフライ、ウィンナー、野菜炒め…とおかずも豊富。ご飯だって具いりおにぎりだ。
彼は弁当のあまりものを食べてしばらく悩み、ため息をつく。学校にいく準備をして、弁当箱を眺める。
そのあと首を振りそれを机の上に置き、食え。とメモを残して学校へ。
学校につくとまず最初に第四調理室に入る。
第四調理室には畳の間があり、その広さ十畳。布団からこたつまであるそこに真っすぐにむかう。
そこには一人の男が眠っていた。
「…」
彼は困ったように男を見つめる。
この場に人が集まりはじめると勝手に起きる。起きるとわかっていても起こしたくはない。しかし、寝起きの男は質が悪い。
しばらく悩んで、彼は男に声をかける。
「春日井さん、寝てないで起きてください」
男…春日井は、布団のなかに潜って拒否を表す。
「また狸寝入りしてたんですか。起きてください」
「…朝食」
「パンと…コーヒーはそろそろ担当が来ますよ」
「卵とサラダは?」
「目玉焼きなら」
「昨日と同じ回答」
「……」
彼は何もいわないで困った顔のまま、布団を眺める。
春日井はむくっと起き上がって苦笑する。
春日井は彼が来た時点で起きていたのだ。
寝起きの春日井は質が悪い。
緩い服装で寝るのが好きな春日井は、寝起きは無駄に色気がある。よく一緒にいる面子すら、春日井が服装を正すまでここに入りたがらない。
彼はちらりと春日井に視線を向けたあと、そそくさと畳の間…別名、調理班長の巣から逃げ出す…前に彼は後ろから春日井に捕まる。
「卵焼き」
「無理です」
「オムレツ」
「無理です」
「スクランブルエッグ」
「無理です」
「……ターンオーバー」
「難易度高いです」
「………ベーコンエッグ」
「……もう自分で作ってください」
「…………目玉焼き」
「了解しました」
なおも引っ付いて離れない春日井を背負ったまま、彼は春日井の朝食を作る。玉葱を適当にスライサーでスライスし、水に浸す。人参もスライスし、レタスを洗ってちぎって、サラダを作る。
そうこうしている間に調理室にいつものメンバーが集まりはじめる。
「先輩方おはよんすー…って、班長早く居住まい正してください。目に毒です」
「おはようござ…班長、副班長が邪魔そうなんで、退いてください」
一年コンビは今日も元気だ。最初に挨拶をしたコーヒー担当がコーヒー豆を選び始める。その横で紅茶担当がコーヒー豆について尋ねている。
「ほら春日井さん、準備できましたよ」
目玉焼き、サラダ、トースト。
出揃った朝食を前に、居住まいをただし、手を合わせる春日井。
「おはようさーんって、なんだ班長、今日も愛妻の朝食?」
「いいだろ」
「羨ましいねぇ愛されてて。あ、おはよう諸君」
日本茶担当と中国茶担当が揃い、後輩の入れたコーヒーを皆でいただく。
風紀委員会調理班の毎朝の光景だ。
彼、風紀委員会調理班副班長、篠宮圭樹はおもむろにカバンからシフォンケーキを出して切ってそこに添える。
「副班長大好きっ!今日の味はなんですか?」
「お。焙じ茶」
「さすが日本茶担当、よくわかるねぇ」
「もっと誉めてくれていいんすよ、先輩。いやしかし、まさかあの篠宮がこれ作ってるとか思わないよなぁ」
「先輩、はじめてみたとき、俺なんかすごくびびりましたから」
何せ学園の一匹狼だから…と、春日井以外の面子が副班長を眺めた。
当の本人は苦笑を浮かべるばかり。
朝食食べ切った春日井は、癖のある悪い笑みを浮かべる。
「貴重な動物、保護済み」
そのあと、篠宮にご馳走様といって朝食とデザートの感想をのべる。
「目玉焼き相変わらず、最高の半熟具合。トーストもいい具合に焼けてる。あとサラダのドレッシングオリジナルだな。朝からガーリックは控えた感じか?」
頷いた篠宮は内心ドキドキしていた。オリジナルドレッシングははじめての試みだったのだ。
「心遣いよし。うまかった。ガーリックの代わりに何入れるかでもうちっと広げてみねぇか」
「ガーリックのかわりか…」
悩みながらもうまかったの一言に心浮き立つ。
今日はいい一日になりそうだ。




「あんなだからいつまでたってもお弁当作ってもらえないんですよー」
「いやいや、毎朝作ってんだよ、篠宮。俺毎朝食ってるもん」
「あれ?なんで君がたべてるの?」
「なんか春日井さんのがうまいっつって渡せないらしいんすよ」
「う…班長が料理上手でさえなければ…」
「班長もねぇ…自分に作ってくれたんなら、まずかろうがうまかろうが文句なんて言わないんだよぉ?ほんきでまったく」
「え、じゃあ朝のはなんなんですか?」
「副班長が不味かったり、納得できなかったら遠慮なく言ってください。直しますって言ったからねぇ。あと、好みが知りたいって」
副班長…!
思わず拝む調理班であった。
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