書きなぐり 白ヤギさんからお手紙ついた。 忍者ブログ

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黒ヤギさんのアウトローでワイルドーな総長は、会計がこんなにも好きです。
というだけの話です。

しーかたがないのでお手紙かーいた。さっきの、手紙の、ご用事なあに。



本文はつづきからどうぞ。






転校する前にちょっと聞きたいことあるんだよねー。
と、相も変わらず手紙で御園が尋ねてきた。
今はメアドもケー番も、パソコンのメールアドレスまでしっているというのに、未だ文通を続けているのは、御園が『手紙ってきた時スゲー嬉しんだもん』といって、手紙をくれるからだ。
そんな御園の聞きたいことは要約すると、何故手紙を返してくれたか。何故学園に乗り込んできたのか、何故転校を勧めてくれたか、だ。
それらすべては好きだからの一言で終わってしまうのだが、御園はこれだけわかりやすく接しているというのに、俺の好きの程度を理解していない。面と向かって恋愛感情で好きだと言わねばならないのだろうか。と思うと、俺も手紙にかける時間がいつも以上に長くなってしまう。
御園…御園行慈(みそのあんじ)とは中学校の時三年間同じクラスだった。御園は何処から見ても見つけられる派手でチャラくて、目立って、人気もの。男にも女にももてて、三年間一緒のクラスという接点さえなければ俺のことなど頭の隅にもなかっただろうと思う。
俺は中学の時は地味で、真面目とは言い難かったが、どう見たって御園と一緒にいるような人間ではなく、授業を少しサボっても『保健室に行っていた』と言えば大抵誰も疑わないようなやつで、その頃もそこそこサボっていたため、ちょっと病弱なのかな?と思われていた節がある。
背は前とも後ろともつかない、まさに真ん中。よく保健室にいくと思われているものの、成績も悪くない。けど良くもない。友人だって少し少ないけど、いなくない。体育の授業に出る回数ってのは本当に少なかったし、前に出ず、たいてい見学を決め込んでいたのだから目立つこともなく。
そんな俺と美園では、つるむことなんて到底ない。
俺は御園を派手、ちゃらい、うるさいと思っていて、関心すらなかった。
俺が御園を気にするようになったのは、友人の初恋からだった。
友人は御園を好きな女の子に恋をした。
クラスの人気ものに恋する女の子に恋をするというのはよくあることで、相談される俺も、友達がいのないことにテンプレだなと思っていた。
友人は御園が相手じゃ…と、いつも弱気で、俺にとってはそれがなんだか腹立たしくイライラしたもので、それならば、御園より友人が強そうなところを見つけてやろうじゃないか。と、俺は御園を観察し始めた。
顔良し、運動神経よし、成績よし、スタイルもよければ身長も高い。交友関係は広く、派手。個人主義で協調性はあまりないが、だからといって輪から外れるということもなく馴染んでいて…少し、つまらなさそうだった。
やっかみ半分にいうなら、いけすかねぇやつといえた。
御園は観察すればするほど疑問の深まる男だった。
何がそんなにつまらないのだろうかいうほど、御園の毎日は充実しているように思えた。
俺は結局、御園の弱点らしい弱点を見つけられず、御園を見続けた。
御園と目が合うようになったのは、中学三年の半ば頃だったろうか。
友人は初恋の人に振られ、俺はそのやけ食いに付き合い、結局、友人の恋はあっけなく終わったのだが、俺の観察は続いていた。
初めて目が会った時、御園は一瞬不思議そうな顔をした。俺も目を反らすだけというのも、なんだか無愛想な気もして、少し頭を下げた。
御園が、笑った。
たぶんこの時から、俺は御園しか見なくなった。
御園は愛想もよかったから、俺と目が合うたびに笑った、手を振ったりしてくれた。
中学三年間は、ただのクラスメイト。それだけで終わったと思う。
俺は観察を続け、気が付けば観察ではなく御園の笑う顔が見たいがために視線で追い続けた。
自分自身の気持ちに気づきながらも友人ではないのだが、それこそ俺と御園では…と思い何もいうことなく、中学を卒業。
俺の成績と家庭事情では到底行けそうもない学校に行ってしまった御園とそれ以上の接点もなく、居るはずもない御園を高校の校舎でさがすたび、モヤモヤとした気持ちを抱えることとなった。
そんなある日、俺のもとに、一通の手紙が届く。
差出人は、御園行慈。
どうしてだとか、信じられないだとか思う前に、俺の思考は飛び越える。
手紙なんて、このご時世。
ラブレターとダイレクトメールぐらいしかねぇんじゃねぇの。と思っていた。馬鹿な俺。
いそいで開けて、読んで、なんであいつ、暗くなってんの?って思って。
とにかく手紙の返事を書くしかないと思った。
慌てていたし、焦っていた。
早く手紙を返さなければ、きっとあいつは忘れてしまう。
それしかつながりがないと思っていた。
メアドもケー番も忘れていた。
手紙をポストにいれて、一時間もしないうちに、手紙を出したことを後悔した。
俺は、手紙に何って書いた?
余計なことを書かなかったか?落ち込んでいるあいつに慰めの一つでもあってよかったんじゃないだろうか?
失敗したなと、思ったのだ。
暗い気持ちで…少し、荒れた。
荒れているうちに、手紙は届いた。
何度も、何度も…お互い、もっと便利な通信手段があったのに、手紙だけを書いて出し続けた。
俺は変わらなく、いや、それ以上に御園が好きになっていた。
御園は頭がいいくせに少しバカで、中学時代と同様、輝いているように思えた。
一方俺は、高校に入ってから急にやってきた成長期の痛みに苦しみつつ、俺の外見だとか、高校での目立ちようだとか、最終的には心意気だとかなんとかに惚れただのなんだのと…気が付けば総長と言われる立場になっていた。
荒れたのは一瞬のことだったのに、まるでそれを伝説かのように語りだす連中は本当に馬鹿だと思うが、そこが可愛くも思えていて、俺は総長という立場から降りることはなく、たまに御園に返事を出すのが遅れることが難点だったが、それなりに楽しくやっていた。
あとはどうにか御園と会って、以前とは違う俺を受け入れてもらって、じっくり御園に好きになってもらおうと思っていた。
御園の手紙が遅れだすまで。
どれだけ長く手紙を交換していても、御園がいつ手紙の交換をやめるかという不安もあった俺は、焦った。
最初は、御園が飽きたのかもしれないと思った。
遅くなってもやってきた返事はいつもどおりで、しかし、段々とその内容は空々しくなっていった。
なんとなくだが、同じことを出してきて繰り返している。
毎日は日々の繰り返しだ。そうそう違うことが起こるわけじゃない。
だが、そう思わせないほど、御園は俺にくれる手紙を考えていてくれたに違いない。
変わらず手紙は届く。変わらず楽しそうに見える。
けれど、それは、何かが違う。
何か、あったのではないだろうか。そう思ったら、俺の行動は早かった。
御園の学校の様子を調べ、御園の現状を知る。
俺は、地味だった。
当時からそれなりに悪いこともしていたが地味で目立たず…御園が俺を好きになる可能性など考えてもいなかった。
その俺が、総長なんぞになって、明らかに悪い顔して…別の意味で美園に近寄りがたくなったんじゃないかと思ってもいたのに。
そんなことはどうでもよくなるくらい、俺は、腹をたてた。
いや、ブチ切れた。
そのあとの行動は、さらに早かった。
その結果、俺は御園をこちらに戻すことになったし、御園の好意を得た訳だが。
「どうしたもんかな」
白い便箋を前に、俺はため息をつく。
御園の疑問に答えてしまえば、俺は盛大なラブレターを書くことになる。
いや、今までの手紙も似たようなものだが、今と昔では訳が違う。
「直接、教えてやるから、今度な。でいいか」
そして、俺は御園の手紙を読み返す。
御園、意外と鈍いなと思いながら。



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