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ちょっと脳内整理のために書いたんですけど、逆に盛り上がってしまって…
これの難点は毎回、本が増えていくところですね。
次はなんにしたものか…海外に戻ろうかな!とは思って…って、書いちゃいかんだろ。ハイローかけよ。ハイロー。
本文は続きからどうぞ
これの難点は毎回、本が増えていくところですね。
次はなんにしたものか…海外に戻ろうかな!とは思って…って、書いちゃいかんだろ。ハイローかけよ。ハイロー。
本文は続きからどうぞ
会長にうっかり課題みたいなもんを出していたことを忘れて、数日たったある日の放課後。
会長が図書室に現われた。
目が合ったのに挨拶しないのもなぁと思って、書棚の整理をするのを止めて、俺は頭をぺこりと下げた。
するとどうだろう。
会長はずんずん俺に近づいてきた。
「松見、だったよな。この間は助かった。おかげさまで本は読めた。…ついでに、オススメされた本も読んだんだが」
会長意外と律儀だなぁ。
と思いながら、数冊の本を抱えたまま俺は片方の手で書棚の向こう側を指す。
「鏡の国は、読みましたか?」
「…読んでいない」
「じゃあ是非、読んでください。鏡の方は不思議より有名ではねぇっすけど」
おそらく英語で読んだことだろう会長は、今度は微妙な顔をしなかった。
「意外と認識と記憶との違いがおもしれぇ」
とのことだが。
似合わないなぁ…とは人のこと言えないけれど。
興味本位でウサギを追い掛けたどり着いた地下の世界は、不思議の国。
彼女は夢を見ていたのか。果たしてその世界に本当に行っていたのか。
これもまた抽象的で比喩的。
子供の世界を描く大人は、いったい何を思ってあれをかいたのやら。
深くは触れないが、考えてしまう俺はつまらないのかもしれない。…なんとなく思う。
「せっかくですし、あともう一つすすめましょうか?」
他意はないが、前と同じようなことを言ってしまった。
「……俺を本好きにでもするつもりか?」
「そんなつもりはないっすけど…せっかくですしね。今度は日本の本で」
「…とりあえず言ってみろよ」
俺はタイトルをあくまで言わない。
「親友とね、列車にのるんすよ。夜を走る、列車に」
銀河を走る列車といったらわかりやすいかもしれないが、少し探してほしくなって俺はそういった。
今度こそ、会長は微妙な顔をした。
「有名な話ですし、探してみてくださいよ」
俺は無視してそういうと、本を再び棚に入れはじめた。
「本の感想とかは聞かねぇんだな」
「話したいならきくっすけど、特に聞かなくてもわかりますし」
すすめた本がその人にとってどうであったかなんて、再び会ったときの反応と、態度で。
会長にとってあの本はおもしろかったから、俺のオススメもちょっと読んでみようと思ったのだろうし、俺のオススメがおもしろかったから、会長も俺に話し掛けてくれたんだろうし。
昔の俺ならまずそんなこと言わなかっただろうが、今の俺は人の反応を好感情でもってみれるから。
「そんなもんか?」
「そんなもんっす」
俺が頷くと、会長は鏡の国を探しに、本棚の向こうへと消えた。
と、思ったら再び顔を表した。
「そう思えば、伊波(いなみ)が、何故、本を教えてくれなかったか聞いたら、こう伝えてくれと」
伊波というのは、元図書委員長でおっとりとした、まさに文学少年といったかんじの先輩だ。
「『僕は狐になりたかったんだよね』だと」
そして、会長は今度こそ姿を消した。
俺は、棚に本をいれることもできず、悩んだ。
花は誰なんだって。
いつの間にか顔が熱い。
まいったことに、俺は狐に教えられたらしい。
「まだ好きだとか…冗談じゃねぇわ…」
人って奴はすぐにかわれるもんじゃない。
もちろん俺もすぐ変わったわけじゃなし、変わってしまったわけじゃなし。
だから、会長への恋心に気付いたところでどうこうしようとは思ってない。
接触はしたが、やっぱり高嶺の花なんだから。
「松見くんって、たまにぼんやり渡り廊下みてたでしょう?どこ見てるのかなーって思ってみてたら、渡り廊下で、会長が通るとき必ずちょっと笑うよね」
俺の気持ちなどだだ漏れだったようだ。
必ず笑うとか大丈夫か、俺。
「そっすか」
伊波先輩の話に、頬を引きつらせながらまいったなぁ…と俺はぽつりと零した。今度はいつこの気持ちを忘れるのか。
俺は相変わらず、可能性なんか信じちゃいなかった。
「で、会長とはどう?」
「どうもこうも、本を探して、すすめただけっすね」「そこからロマンスだね!」
「いえ、ないすから」
伊波先輩はメロドラマな本が好きで、純文学だとか夫人が好きなレーベルの本を好んで読む。
「えー…あるよーせっかくのチャンスだよ」
えらくお節介な狐だなと思いつつ、俺は先輩にゆっくり首を振る。
「難易度高いっす」
結局、俺があの人に釣り合うわけもないでしょという卑屈な精神で、そういったわけだが。
「そっかなぁ…お似合いだと思うけど」
伊波先輩の言うところのお似合いというやつがわからない。
ほぼ互角の身長で、体格的には会長のがよさそうに見える。
会長は綺麗というよりかっこよく男前で、色素の薄い金茶の目に、ミルクティーブラウンの髪。最初見たときは外国人かと思ったくらい目鼻立ちははっきりしている。
噂によるとハーフなのだそう。
俺はというと元は黒髪の現茶髪。目は日本人らしい黒に近い茶。
卑屈にまがっていた口は意識しないとあまり笑わないし、普通にしてると怖いと言われる顔。
「二人並ぶとかっこよくて眼福だよ」
「お似合いの意味が違いますでしょ、先輩」
「そう?僕はもう可愛いのとかっこいいの飽きちゃったんだよね」
先輩の趣味はどうでもいい話だ。
俺は微妙な笑みを浮かべつつ、先輩が盛り上がらないように頑張るしかなかった。
会長が図書室に現われた。
目が合ったのに挨拶しないのもなぁと思って、書棚の整理をするのを止めて、俺は頭をぺこりと下げた。
するとどうだろう。
会長はずんずん俺に近づいてきた。
「松見、だったよな。この間は助かった。おかげさまで本は読めた。…ついでに、オススメされた本も読んだんだが」
会長意外と律儀だなぁ。
と思いながら、数冊の本を抱えたまま俺は片方の手で書棚の向こう側を指す。
「鏡の国は、読みましたか?」
「…読んでいない」
「じゃあ是非、読んでください。鏡の方は不思議より有名ではねぇっすけど」
おそらく英語で読んだことだろう会長は、今度は微妙な顔をしなかった。
「意外と認識と記憶との違いがおもしれぇ」
とのことだが。
似合わないなぁ…とは人のこと言えないけれど。
興味本位でウサギを追い掛けたどり着いた地下の世界は、不思議の国。
彼女は夢を見ていたのか。果たしてその世界に本当に行っていたのか。
これもまた抽象的で比喩的。
子供の世界を描く大人は、いったい何を思ってあれをかいたのやら。
深くは触れないが、考えてしまう俺はつまらないのかもしれない。…なんとなく思う。
「せっかくですし、あともう一つすすめましょうか?」
他意はないが、前と同じようなことを言ってしまった。
「……俺を本好きにでもするつもりか?」
「そんなつもりはないっすけど…せっかくですしね。今度は日本の本で」
「…とりあえず言ってみろよ」
俺はタイトルをあくまで言わない。
「親友とね、列車にのるんすよ。夜を走る、列車に」
銀河を走る列車といったらわかりやすいかもしれないが、少し探してほしくなって俺はそういった。
今度こそ、会長は微妙な顔をした。
「有名な話ですし、探してみてくださいよ」
俺は無視してそういうと、本を再び棚に入れはじめた。
「本の感想とかは聞かねぇんだな」
「話したいならきくっすけど、特に聞かなくてもわかりますし」
すすめた本がその人にとってどうであったかなんて、再び会ったときの反応と、態度で。
会長にとってあの本はおもしろかったから、俺のオススメもちょっと読んでみようと思ったのだろうし、俺のオススメがおもしろかったから、会長も俺に話し掛けてくれたんだろうし。
昔の俺ならまずそんなこと言わなかっただろうが、今の俺は人の反応を好感情でもってみれるから。
「そんなもんか?」
「そんなもんっす」
俺が頷くと、会長は鏡の国を探しに、本棚の向こうへと消えた。
と、思ったら再び顔を表した。
「そう思えば、伊波(いなみ)が、何故、本を教えてくれなかったか聞いたら、こう伝えてくれと」
伊波というのは、元図書委員長でおっとりとした、まさに文学少年といったかんじの先輩だ。
「『僕は狐になりたかったんだよね』だと」
そして、会長は今度こそ姿を消した。
俺は、棚に本をいれることもできず、悩んだ。
花は誰なんだって。
いつの間にか顔が熱い。
まいったことに、俺は狐に教えられたらしい。
「まだ好きだとか…冗談じゃねぇわ…」
人って奴はすぐにかわれるもんじゃない。
もちろん俺もすぐ変わったわけじゃなし、変わってしまったわけじゃなし。
だから、会長への恋心に気付いたところでどうこうしようとは思ってない。
接触はしたが、やっぱり高嶺の花なんだから。
「松見くんって、たまにぼんやり渡り廊下みてたでしょう?どこ見てるのかなーって思ってみてたら、渡り廊下で、会長が通るとき必ずちょっと笑うよね」
俺の気持ちなどだだ漏れだったようだ。
必ず笑うとか大丈夫か、俺。
「そっすか」
伊波先輩の話に、頬を引きつらせながらまいったなぁ…と俺はぽつりと零した。今度はいつこの気持ちを忘れるのか。
俺は相変わらず、可能性なんか信じちゃいなかった。
「で、会長とはどう?」
「どうもこうも、本を探して、すすめただけっすね」「そこからロマンスだね!」
「いえ、ないすから」
伊波先輩はメロドラマな本が好きで、純文学だとか夫人が好きなレーベルの本を好んで読む。
「えー…あるよーせっかくのチャンスだよ」
えらくお節介な狐だなと思いつつ、俺は先輩にゆっくり首を振る。
「難易度高いっす」
結局、俺があの人に釣り合うわけもないでしょという卑屈な精神で、そういったわけだが。
「そっかなぁ…お似合いだと思うけど」
伊波先輩の言うところのお似合いというやつがわからない。
ほぼ互角の身長で、体格的には会長のがよさそうに見える。
会長は綺麗というよりかっこよく男前で、色素の薄い金茶の目に、ミルクティーブラウンの髪。最初見たときは外国人かと思ったくらい目鼻立ちははっきりしている。
噂によるとハーフなのだそう。
俺はというと元は黒髪の現茶髪。目は日本人らしい黒に近い茶。
卑屈にまがっていた口は意識しないとあまり笑わないし、普通にしてると怖いと言われる顔。
「二人並ぶとかっこよくて眼福だよ」
「お似合いの意味が違いますでしょ、先輩」
「そう?僕はもう可愛いのとかっこいいの飽きちゃったんだよね」
先輩の趣味はどうでもいい話だ。
俺は微妙な笑みを浮かべつつ、先輩が盛り上がらないように頑張るしかなかった。
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